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自己破産をしたら、給与はどうなる!? 処分の対象にならないケースとは

2023年01月26日
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自己破産をしたら、給与はどうなる!? 処分の対象にならないケースとは

帝国データバンクの調査によると、2021年の静岡県内における休廃業・解散(法人・個人)の件数は1502件で、前年比6.4%の減少となりました。

自己破産をすると、債務者(破産者)の財産は処分され、債権者への配当に回されてしまいます。ただし、すべての財産が処分されるわけではありません。給与についても、自己破産によって処分(没収)されてしまうケースと、そうでないケースがあります。

今回は、自己破産手続きにおける給与の取り扱いにつき、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。

出典:「静岡県「休廃業・解散」動向調査(2021年)」(帝国データバンク)

1、自己破産で処分される財産の範囲

自己破産をした場合、債務者の財産は処分されてしまうというイメージをお持ちの方が多いかと思います。

たしかに処分されてしまう財産もありますが、処分されずに残して置ける財産もあります。自己破産による処分の対象となる財産・ならない財産について、破産法のルールを確認しておきましょう。

  1. (1)破産手続開始決定時の財産|原則として処分の対象

    裁判所によって破産手続開始の決定が行われると、債務者が破産手続開始の決定時点で有する一切の財産は、原則として「破産財団」となります(破産法34条1項)。

    破産財団は、破産手続きによる換価・処分の対象となる財産です。したがって、債務者が破産手続開始の決定時点で有する財産については、処分されて債権者に配当されるのが原則です。

    なお、破産財団の換価・処分(破産法78条1項・2項、同法79条)と債権者への配当(破産法195条以下)は、裁判所によって選任される破産管財人が行います。

  2. (2)破産手続開始決定時の財産が、例外的に処分されない場合

    ただし、債務者が破産手続開始の決定時点で有する財産のうち、以下のものについては例外的に破産財団から除外されます。

    (a)99万円以下の現金(破産法34条3項1号)

    (b)差押禁止財産(破産法34条3項2号)
    (例)
    • 生活必需品(衣服、寝具、家具、台所用具、畳、建具など)
    • 1か月間の生活に必要な食料、燃料
    • 事業を営むために不可欠な財産
    • 未公表の発明、著作
    • 年金等の債権
    など

    (c)権利の性質上差押えの対象とならない財産
    (例)
    • 扶養請求権
    • 財産分与請求権
    など

    (d)裁判所が自由財産として拡張を認めた財産(破産法34条4項)
    (裁判所が考慮する要素)
    • 債務者の生活状況
    • 破産手続開始の時において破産者が有していた自由財産の種類及び額
    • 破産者が収入を得る見込み
    • その他の事情

    (e)破産管財人が財産から放棄した財産(破産法78条2項12号)


    これらの財産は「自由財産」と呼ばれ、破産手続きによる換価・処分の対象外です。

  3. (3)破産手続開始決定後に得た財産|処分の対象外

    債務者が破産手続開始決定後に得た財産(新得財産)については、原則として破産財団に含まれません。したがって、「自由財産」として破産手続きによる換価・処分の対象外となります。

    ただし、現実に債務者が取得する時期が破産手続開始決定後であっても、原因が破産手続開始決定前にある場合には、例外的に破産財団に属するものとされます(破産法34条2項)。

    たとえば、破産手続開始決定前に契約していた生命保険を破産手続開始決定後に解約したことにより生じた解約返戻金は破産財団に属することになります。

2、自己破産をすると給与はどうなる?

自己破産を申し立てた債務者が会社から受け取る給与についても、上記の破産法に基づくルールに従い、債権者配当に回されるのか、それとも債務者の手元に残しておけるのかが決まります。

  1. (1)破産手続開始決定前の給与|債権者配当に回される

    破産手続開始決定前の期間に対応する給与は、破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産として破産財団に含まれます(破産法34条1項)。
    この場合の給与は、破産財団として破産管財人の管理下に置かれ、上述した「自由財産」に該当しない限り、最終的に債権者へ配当されることになります。

  2. (2)破産手続開始決定後の給与|全額債務者のもの

    破産手続開始決定後の期間に対応する給与は、原則として破産財団に含まれません。したがって、債権者への配当には回されず、全額を債務者が受け取れます。

    給与に限らず、債務者が破産手続開始決定後に取得した財産(新得財産)については、原則として債権者への配当に回されることはなく、すべて債務者のものです。そのため自己破産をしたとしても、生活が成り立たなくなることを心配する必要はありません。

3、サラリーマンが自己破産する場合の注意点

サラリーマンの方が自己破産をする場合、資格制限や税金などの非免責債権に注意が必要です。

なお、勤務先にあえて自己破産のことを知らせる必要はありませんので、自己破産のことを勤務先に秘密にしたまま進めることはできます。しかしながら、退職金に関する資料などを集める過程で、勤務先から使途等の説明を求められるなどして、勤務先に事情を知られてしまう可能性もありますので注意が必要です。

  1. (1)一部の職業については資格制限が発生する

    破産手続開始の決定がなされると、一部の職業について資格制限が発生します。資格制限の対象となっている職業については、「復権」を経るまで業務を行うことができません。

    <資格制限の主な対象職業>
    ① 各種士業
    • 弁護士
    • 司法書士
    • 行政書士
    • 土地家屋調査士
    • 社会保険労務士
    • 通関士
    • 宅地建物取引士
    など

    ② 各種公的委員会の委員
    • 公正取引委員会
    • 教育委員会
    など

    ③ 各種金融機関の役員
    • 銀行
    • 信用協同組合
    • 保険会社
    • 農業協同組合
    など

    ④ 警備員


    <復権の要件>
    以下のいずれかに該当すること(破産法第255条第1項)
    • ① 免責許可決定の確定
    • ② 債権者の同意による破産手続廃止決定の確定
    • ③ 再生計画認可決定の確定
    • ④ 破産手続開始の決定後、詐欺破産罪について有罪の確定判決を得ることなく10年が経過したこと


    サラリーマンの中には、たとえば宅地建物取引士の資格を持っている方(不動産会社勤務の方など)や、警備員として働いている方などもいらっしゃるかと思います。そのような方は、自己破産によって配置転換・休職・退職などを強いられる可能性がある点にご注意ください。

  2. (2)税金などは免責されない

    自己破産をすると、最終的には原則として、すべての債務が免責されます。ただし例外的に、「非免責債権」(破産法第253条第1項)については免責されない点に注意が必要です。

    <非免責債権>
    • (a)租税等の請求権
    • (b)悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
    • (c)故意または重大な過失により加えた、他人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
    • (d)養育費や婚姻費用等の親族関係に係る一連の請求権
    • (e)雇用関係に基づく使用人の請求権・預り金返還請求権(給与債権、退職金請求権など)
    • (f)破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(債権者が破産手続開始の決定があったことを知っていた場合を除く)
    • (g)罰金等の請求権


    たとえば、税金や社会保険料を滞納している場合や、悪質な不法行為によって第三者に損害賠償責任を負っている場合などには、免責されずに債務が残ってしまうのでご注意ください。

  3. (3)自己破産が会社にバレる可能性は低い

    自己破産を申し立てると、破産手続開始の決定や免責許可の決定について官報公告が行われます。官報は誰でも入手・閲覧できるので、会社に自己破産の事実がバレてしまうのではないかと心配になる方もいらっしゃるでしょう。

    しかし、実際には、会社が官報をチェックすることはあまりないと考えられます。定期的に官報を確認する会社はほとんどありませんし、過去の官報について情報を検索することもできないようになっているからです。

    ただし、会社に対して借金を負っている場合や、会社の給与を差し押さえられている場合には、裁判所からの通知によって自己破産の事実が会社に発覚してしまいます。

    また、退職金に関する資料などを集める過程で、勤務先から使途等の説明を求められるなどして、勤務先に事情を知られてしまう可能性もあります。

    どうしても会社にバレずに借金問題を解決したい場合には、任意整理など別の方法を検討すべきでしょう。

4、業務委託報酬の自己破産における取り扱い|給与との違いは?

自営業・フリーランスの方などの収入は、給与ではなく業務委託報酬に当たります。給与と業務委託報酬は、法的には異なる種類の債権ですが、破産手続きにおける債権者配当の対象になるか否かについての取り扱いルールは同じです。

破産手続開始決定前に発生した業務委託報酬については、原則として破産財団に含まれるため、債権者配当の対象になります(破産法34条2項)。

ただし、債務者の生活の状況等によっては、裁判所の判断によって自由財産の拡張が認められる可能性もあるでしょう(破産法34条4項)。

これに対して、破産手続開始の決定後に発生した業務委託報酬については、破産財団に含まれず、債権者配当の対象外です。

会社員などの給与に加えて、自営業・フリーランスの業務委託報酬の自己破産における取り扱いについてご不明点がある場合には、弁護士までご相談ください。

5、まとめ

自己破産をした場合、破産手続開始決定前に発生した給与については処分されますが、破産手続開始決定後に発生する給与は原則として全額債務者のものになります。そのため、自己破産によって生活に困窮するのではないかと過度に心配する必要はありません

自己破産のみならず、債務整理手続きには任意整理や個人再生という選択肢もあります。どの手続きによって債務整理を進めるべきかは状況によって異なるため、弁護士のアドバイスを求めましょう。

ベリーベスト法律事務所は、自己破産を含めた債務整理のご相談を随時受け付けております。借金の返済が苦しく、状況を改善したいとお考えの方は、お早めにベリーベスト法律事務所 浜松オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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