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夫婦関係調整調停って何? できることや準備について弁護士が解説

2021年03月08日
  • その他
  • 夫婦関係調整調停
夫婦関係調整調停って何? できることや準備について弁護士が解説

「配偶者との関係がうまくいかない」という悩みは、既婚者であればだれもが直面しうるものだと思います。

静岡県浜松市においては、平成30年中に5923組が離婚しましたが(離婚率1.65%)、実際に離婚はしていないが、離婚の危機に直面しているという夫婦も含めると、もっと多くの夫婦が夫婦関係に悩まされている可能性があります。

また、「離婚」という選択肢が頭をよぎったとしても、それに向けて実際にかじを切る際、あるいは再構築に向けて行動する際には、どのように動けばベストなのかが分からないということもあるでしょう。

そこで、今回は、離婚をするかどうか迷っておられる方に向けて、「夫婦関係調整調停」という制度をご紹介します。

1、夫婦関係調整調停とは

  1. (1)夫婦関係調整調停とは

    夫婦関係調整調停とは、夫婦間に紛争が生じたときに、その解決のために調整を行うことです。

    夫婦関係調整には、

    • 夫婦の一方が相手方に対し、離婚を求めて調停の申し立てをする場合(これを「離婚調停」といいます)
    • やり直すことを求めて調停の申し立てをする場合(これを「円満調停」といいます)

    の2種類があります。

    家族間のもめごとなどに関する事件を解決しようと思った場合、まずは「裁判」ではなく、家庭裁判所に調停を提起しなければなりません。これを調停前置主義と言います。

    たとえば相手に対して離婚を求めようとする場合、いきなり離婚訴訟を起こすのではなく、まず家庭裁判所に調停(家事調停)の申し立てをしなければならないのです。

    「裁判」と「調停」には制度上のさまざまな違いがありますが、大まかにいうと、調停は、当事者間の話し合いによる合意を通じて解決を図る制度であるのに対して、裁判は書面と証拠を中心にして法に基づいて裁判官が判断するという制度である、という違いがあります。

  2. (2)この調停で決められること

    ① 円満調停の場合
    円満調停は、円満にやり直すことを求める調停ですが、こうした調停の申し立てがされるということは、すでに婚姻関係がこじれていることが多いです。したがって、円満調停の申し立てがなされた時点で、すでに別居状態となっていることも少なくありません。

    そのため、婚姻関係だけではなく、別居中の生活費(婚姻費用)の分担について調整することが必要になる場合もあります。

    円満調停において、円満にやり直す方向で調停が成立する場合には、今後円満に過ごすための夫婦間の決めごとを、調停条項に残すことができます。

    また、円満調停の結果、取りあえず現段階では離婚はせず、別居状態を保つということで合意する場合(いわゆる別居調停)には、別居中の婚姻費用や、夫婦の間に子どもがいる場合には、子どもと別居している親と子どもとの面会(面会交流)について取り決めておくことができます。

    ② 離婚調停の場合
    離婚調停、あるいは、円満調停での話し合いの結果、離婚するという内容で調停を成立させる場合、一般的には次の事項を取り決めることになります。

    • (子どもがいる場合)親権
    • (子どもがいる場合)養育費
    • (子どもがいる場合)面会交流
    • 財産分与
    • 慰謝料
    • 年金分割


    離婚調停において、離婚についての合意ができ、夫婦双方が離婚するという内容の調停が成立すると、直ちに離婚できます

    つまり、協議離婚のように、離婚届を役所に提出しなくても、法律上、その夫婦は、離婚したことになります(ただし、離婚調停成立後10日以内に、役所に離婚届を出しておかなければいけません)。

    調停における合意内容を「調停条項」といいます。調停条項の中で、金銭の支払いをする旨の合意がある場合(養育費や財産分与、慰謝料の支払い)に、支払い義務を負った者が任意に支払いをしないときは、強制執行によって合意内容を強制的に実現することができます。

    ただし、強制執行をするためには、調停条項の文言上、いくらをいつまでに支払うかが明確になっていなければなりません。

2、夫婦関係調整調停はどう進むのか。また、費用、必要書類とは

  1. (1)夫婦関係調整調停の流れ

    夫婦関係調整調停を行うのは家庭裁判所です。

    調停事件は、主に調停委員会によって処理されます。調停委員会は、1人の裁判官と、2人以上の家事調停委員をもって組織されています。また、主に子どもの親権や、面会交流などが争いとなっている場合には、心理学、社会学、教育学、社会福祉学等の人間諸科学の専門知識を有する家庭裁判所調査官が配置され、夫婦、そして子どもにとって、よりよい解決方法を提案します。

    夫婦関係調整調停は、夫婦のいずれかが、管轄の家庭裁判所に申し立てをすることで始まります。夫婦関係調整調停申立てから調停終了までの大まかな流れは、次のとおりです。

    管轄の裁判所に、調停申立書および所定の必要書類を提出する。
     ↓
    裁判所から、申立人に対して期日調整の連絡が来る。初回調停期日を決める。
     ↓
    相手方に対し、調停申立書と、期日通知書が届く。
     ↓
    初回調停期日
     ↓
    その後、数回~十数回の調停期日(回数は事案によります)。開催頻度は1か月~1か月半に1回程度。
     ↓
    合意に至れば、調停成立で終了。至らなければ、調停不成立で終了。


    調停期日においては、相手方と面と向かって話し合いをするわけではありません。夫婦の一方が、調停室において調停委員に対して自らの言い分を述べ、それが終わったら他方の当事者が入れ替わりで調停室に入り、調停委員から相手の言い分を伝え聞いたうえで、自らの言い分を調停委員に伝えます。

    それを1期日に何度か繰り返します(1回の調停は2時間程度で、だいたい30分~1時間ごとに、交代で調停室に入ります)。

  2. (2)夫婦関係調整調停にかかる費用

    申し立てに必要な費用は、次のとおりです。

    1. ① 収入印紙1200円分
    2. ② 連絡用の郵便切手(家庭裁判所ごとに違う場合があるため、申し立てされる裁判所に確認することをおすすめします)
  3. (3)夫婦関係調整調停の必要書類

    申し立てに必要な書類は、次のとおりです。

    1. ① 申立書及びその写し1通
    2. ② 標準的な申立添付書類
      ・ 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
      ・ (年金分割割合についての申し立てもしている場合)年金分割のための情報通知書

3、夫婦関係調整調停前に準備しておくとよいこと

まずは、あなたのゴールをどこにするかを明確にしておくことです。離婚したいのか、やり直したいのかなどによって、準備することは変わってきます。もちろん、夫婦関係調整調停は相手(配偶者)のあることですから、調停の結果がすべてあなたの思い通りにいくとは限りません。
進行に応じて、方針を修正することも必要です。

もし、配偶者とのやり直しを考えるのであれば、配偶者から、あなたの至らない点を指摘され、改善を求められたとしても、きちんと誠実に受け止める心の準備をしましょう

せっかく円満調停を申し立てて、配偶者が率直な意見を述べてくれたとしても、あなたがそれに対して「逆ギレ」してしまっては、再構築の道は途絶えてしまいます。

もし、配偶者と離婚したいのであれば、どのような離婚条件で離婚したいのか、を考えておきましょう。また争いになりそうな事項については、証拠固めをしておきましょう。

証拠があれば、配偶者が離婚したくないと言ってきたとしても、離婚できるに足りる事情(離婚原因)があることを裏付ける資料(不貞や、DVの証拠など)となります。
財産分与が問題となる場合には、配偶者の持っている財産についての資料(通帳、保険証券の写しなど)が役に立つでしょう。配偶者が保有する財産の情報収集はかなり困難です。

財産関係の資料や不貞行為の証拠については、調停申立て後に収集しようと思っても、配偶者に証拠隠しされる恐れがあるため、調停申立て前にそろえておくのがよいでしょう。

4、弁護士ができること

夫婦関係調整調停は、裁判ではありませんが、法律問題を取り扱うという面に変わりはありません。そのため、専門家である弁護士に依頼するのが安心です。

特に、相手方に弁護士がついている場合には、知識の差が大きく開いてしまい、不利な展開となりかねませんから、弁護士に依頼することをおすすめします。

なお、調停委員は中立的な立場なため、どちらかの当事者に有利なアドバイスをすることもありませんから、結論を調停委員任せにしてしまうのもよくありません。

弁護士は、夫婦関係調整調停において、どのような資料があれば良い結果になるかをよく知っていますので、証拠集めに関するアドバイスが可能です。

また、夫婦関係調整調停においても、書面での主張のやりとりをするが可能なため、弁護士に、その書面の作成を依頼することも可能です。また、婚姻費用や養育費の計算、財産分与の計算なども可能です。

5、まとめ

夫婦関係調整調停についての基本的な知識は以上のとおりですが、夫婦間に発生している問題や、調停を使って実現したい内容はそれぞれであり、個々のケースごとに最善の解決策を模索していく必要があります。

当事者間での解決が難しいと思ったら、まずは一度弁護士にご相談のうえ、調停制度の利用も含め、解決方法を探りましょう。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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