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一時解雇(レイオフ)とは? メリットやリストラとの違いを解説

2021年09月07日
  • 労働問題
  • 一時解雇
一時解雇(レイオフ)とは? メリットやリストラとの違いを解説

新型コロナウイルス感染症は、日本の企業情勢や雇用情勢にも大きな悪影響を及ぼしています。外出の自粛や外国人観光客の大幅な減少により、飲食業界・観光業界・航空会社などが、苦しい立場に立たされています。

2020年3月、静岡県では、県内で新型コロナウイルス感染症の影響により倒産した県内企業の数は、50件を超えたと発表がありました。これは全国4番目の多さです。

各業界は、雇用を何とか守るために、ボーナスのカットや、他社に出向させるなどの対策をとるところもあります。しかし、さまざまな手を尽くしても、「解雇」という選択肢を取らざるをえない場合もあるでしょう。

そこで、今回は、アメリカ合衆国などで採られている「一時解雇(レイオフ)」などの制度も踏まえながら、解雇に関する法制度や手続きについて、解説します。

1、一時解雇(レイオフ)とは

レイオフ(layoff)とは、企業が業績悪化など理由に、従業員を一時的に解雇することをいいます。企業と従業員との雇用契約がいったん終了するという点において、休職とは異なります。

レイオフは一時的なものですから、業績が回復し人員削減の必要がなくなったときなどには、レイオフされた従業員は再雇用されることになります。つまり、レイオフは、企業の業績悪化時の人件費調整として行われるものなのです。

アメリカ合衆国においては、このレイオフという制度が用いられています。アメリカのレイオフでは、勤続年数が長い人が優遇される、先任権というものがあります。すなわち、レイオフの実施に際して、勤続年数が短い人からレイオフされ、レイオフから復帰するときには、勤続年数の長い人からということになります。

2、一時解雇(レイオフ)のメリット

レイオフは、従業員を企業側から一方的に解雇する制度であることから、マイナスの印象を受けるかもしれません。しかしレイオフを実施には、企業側・従業員側の両方にとってメリットもあるのです。

企業側のメリットは、人員整理をしてコストを削減し、業績の回復を図ることができることです。また、業績が回復したときには、一度放出した人材を取り戻すことができ、優秀な人材の確保、その後の企業の発展につながります。

労働者側のメリットは、レイオフによって退職金をもらえる場合もあることや、企業側からの解雇なので転職の際の影響が少ないということです。また、レイオフ期間にスキルアップし、好待遇での転職を狙うこともできます。

3、日本においてレイオフはできるのか

  1. (1)日本の解雇制度の現状

    日本において、レイオフ制度は浸透していませんが、解雇の後に再雇用することで、レイオフと同様の状態を生み出すことは可能です。

    しかし、日本においては、レイオフのような一時解雇というやり方にあまりなじみがないのが現状です。なぜなら、日本の労働基準法上、会社が従業員を解雇する場合の要件は厳しく定められているため、業績が悪化したとしても、簡単に雇用契約を切ることはできないからです

    そのため、日本においてレイオフをすることは難しい、と言えるでしょう。

  2. (2)日本の解雇制度について解説

    現在の日本の労働基準法上、会社の都合で解雇には、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇の3種類がありますが、レイオフをする場合には整理解雇に当たります。

    ● 整理解雇
    整理解雇とは、会社側が、「経営がうまくいっていない」といった理由により、人員コストを減らす手段として行う解雇のことをいいます。整理解雇は、労働者側の事情を直接の原因とした解雇ではないため、一般の解雇と比べてより厳しい要件が課されています。

    整理解雇の要件は、裁判例上、次の4つに整理されています。

    ・人員削減の必要性があること
    整理解雇をするには、経営上の理由により人員を削減する必要性がなければなりません。たとえば、整理解雇を行いつつも、新規採用をするといった行動をとっていた場合には、人員削減の必要があるとは言い難いと評価されます。

    ・解雇を回避するための真摯(しんし)な努力を行ったこと
    経営上の理由により人員コストを削減する必要がある場合であっても、解雇以外の手段も採りえます。たとえば、残業の削減・新規採用のストップ・余剰人員の配転や出向、非正規社員の雇止め・希望退職者の募集などによっても、人員コストを削減することは可能です。このような努力をしてもなお、解雇するほかないと評価できることが必要となります。

    ・解雇される人を公正な基準で合理的に決めたこと
    整理解雇をする場合には、その人選は合理的な基準を公正に適用しなければなりません。合理的な基準の例としては、勤務の成績、勤務年数などが挙げられます。

    ・手続が妥当であること
    使用者は、整理解雇にあたっては、労働組合や労働者に対して、人員削減の必要性、整理解雇の時期・規模・人選について説明を行い、その納得を得るために誠意をもって協議しなければなりません。

    再雇用を約束するレイオフの場合でも、以上4つの要件を満たさなければ、従業員と裁判になった場合などに不利になってしまう可能性があります。

4、リストラや一時帰休との違いは?

  1. (1)リストラとは?

    リストラとは、英語の「restructuring(リストラクチャリング)」という単語を省略したもので、本来的には事業の再構築という意味を持ちます。もっとも、そのための手段として人員整理や工場閉鎖などが行われることが多かったため、リストラといえば「解雇」を意味するようになりました。

    リストラのように、企業側が経営不振などの経営上の理由により人員削減の手段として行う解雇を、法律上、整理解雇といいます

  2. (2)一時帰休とは?

    一時帰休とは、景気や業績の悪化のために、労働者との雇用契約を維持しつつ、自宅待機など、一時的に休業させることです。

    会社都合で休業をした場合、会社は休業期間中、平均賃金の6割以上の休業手当を労働者に支払う必要があるので(労働基準法26条)、一時帰休の場合も平均賃金の6割以上が支払われる可能性が高いです。

5、企業の雇用問題で弁護士がサポートできること

  1. (1)労働者側との紛争の予防

    雇用、という問題は、企業側にとっても大きな問題であるとともに、労働者にとっても、生活がかかっており、簡単には譲ることのできない問題です。特に解雇ということになると、その対立は顕著に表れることとなります。

    労使に関する法律関係についてよく精査しないまま、企業側の要求を通そうとすると、労働者側から思わぬ反撃に遭い、泥沼化してしまうなどのリスクがあります。

    従業員を解雇するときや、その他にも従業員の仕事内容・給料などについて不利益に変更しようとする場合には、労使間で対立が生じやすいので、そのような処遇をする法的根拠についてしっかりと整理しておく必要があります。弁護士は、労働関連法規についても専門的な知識を有していますので、企業側の対応についての助言・リスクの分析などをすることができます

    労働者への対応を誤ってしまうと、場合によっては不当解雇などで労働審判や訴訟を起こされてしまい、長期的な応対を求められてしまう可能性もあります。

    また、労使間の紛争が訴訟などにまで発展してしまうことは、企業としての評判が下がってしまうというリスクもはらんでいます。
    そのため、従業員の方と穏便に話し合い、互いに納得して解決できる方法を探る必要があります。

    弁護士は、紛争に関する交渉についても数多く扱っていますので、従業員の方との交渉においても、知識と経験を生かしたサポートを行うことが可能です。

  2. (2)紛争が起こってしまったときの対応

    労使間で交渉を尽くしても、どうしてもお互い妥協することができないという場合には、裁判など、第三者の介入のもと白黒はっきりさせなければ解決できないということもあります。

    労働事件についての紛争解決システムは何種類かありますが、ここでは2つ紹介いたします。

    ● 労働審判手続
    労働審判手続は、労働者と会社の個別の争いを、裁判所の労働審判官と労働審判員が審理し、調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合には労働審判を行うという制度です。原則として3回を上限に労働者側、使用者側の話を聞き、問題解決の妥協点を探ります。その後、3回の期日の中で互いに妥協できる条件が整えば、調停の成立として審理は終了しますし、両者の条件が整わなければ、審判手続きの経過を踏まえて審判が行われます。この審判に不服がある場合には、異議申し立てを行うことで訴訟に移行することができます。

    ● 民事訴訟
    訴訟は、民事紛争の解決手続のうち、その事件でこれ以上争わないために、裁判官が最終的な判断を下す手続きです。調停、審判など民事的な問題の解決法は他にもありますので、訴訟は、最終手段と言えるでしょう。

    民事訴訟法の規定に基づいて、慎重かつ本格的な審理が行われますが、実際にはその途中において、当事者の合意(和解)により紛争が解決されることも多いのが現状です。

    なお弁護士は、労使間の紛争が仮に労働審判や訴訟になってしまったとしても、代理人となり、法的知識を駆使し適切に対応することができます。

6、まとめ

今回は、一時帰休や、それに類似する日本の法制度をご紹介するとともに、解雇に関する紛争対応についても解説いたしました。

会社の存続にかかわるからと言って、軽々と従業員に解雇や一時帰休を言い渡すことは大きな問題をはらんでいることがお分かりいただけたかと思います。

労働事件の解決実績豊富な弁護士は、従業員との問題にならないよう、リスクを回避しながら事業再生をする場合の法的アドバイスができます。また、実際に、従業員の解雇問題に直面している場合の対応も可能です。

企業運営にお困りなら、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスまで、どうぞご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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