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取締役(役員)を辞任する方法や注意すべき点について弁護士が解説

2021年04月19日
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取締役(役員)を辞任する方法や注意すべき点について弁護士が解説

取締役を辞めたいと考えたときに、その役職としての責任の重大さから、ためらってしまうこともあるでしょう。

しかし、年齢や健康上の理由でこれ以上業務を遂行することが難しかったり、他の取締役や代表取締役と意見が合わず、他の場所でやっていきたいという理由で、辞めざるを得ないこともあります。

特に、昨今のコロナ禍の中においては、会社や業界の行き先が不透明であることや、従来とは異なるビジネスが注目を集めるようになったことも、取締役の辞任のきっかけになることがあるかもしれません。

静岡県の県内経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部厳しい状況が残るものの、持ち直していると評価されています(令和2年10月28日付財務相東海財務局静岡財務事務所 静岡県内経済情勢調査)。

とはいえ、さまざまな理由で取締役を辞任したいと思う方もいらっしゃるでしょう。しかしどんな理由にしろ、取締役を辞任するにあたっては、穏便に済ませたいものです。

今回は、任期満了前に取締役を辞任する方法と注意点について、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。

1、任期を満了していれば、辞任をする必要はない

取締役の退任事由には、辞任・解任・任期満了・会社の解散など、さまざまな事由があります。

役員には任期があるため、ずっと役員でいつづけるためには、任期が途切れないように再任される必要があります。任期の長さは、取締役・監査役など、役員の種類によって異なります。

任期が切れた役員は、辞任するまでもなく、任期満了時に自動的に役員の地位を失うことになります。
取締役の任期は、会社法第332条第1項で原則的には最長でも2年と定められていますが、非公開会社で一定の条件に該当する場合には定款により任期を10年まで伸長できます(同条2項)。

2、任期満了前に、取締役を辞任する方法は?

  1. (1)取締役を辞める時期

    取締役を退任する時期には、特に制限はありません
    その理由は、取締役と会社との関係が委任に基づいているからです(会社法第330条)。

    委任に関する規定は、民法に定められており、委任関係の終了については「各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定められています。(民法第651条)

    つまり、取締役は、任期途中であっても、時期を問わず自由に辞任することができるのです。

    解除は、解除したい側からの意思表示だけで足り、相手方当事者の承諾は必要としません。したがって、会社側が取締役の辞任に反対したとしても、辞任することは可能です。

  2. (2)辞任する方法

    取締役を辞任するというのは、先に解説したとおり、法律上の効果でいえば、会社との委任契約の解除ということになります。そして解除は、取締役からの意思表示があれば足ります

    その意思表示の仕方の形式については特に決まりはありませんので、口頭・書面・メールなど、どのような方法でも構いません。ただし、意思表示をしたということが、うやむやにならないように、書面かメールで意思表示をすることが望ましいでしょう。

    そして、取締役が辞任する場合、会社は、役員変更の登記をしなければなりません

    取締役の氏名は登記事項であるため(会社法第911条第3項第13号)、取締役を辞任した場合、変更登記が必要となります(会社法第911条第3項13号、同第915条1項、商業登記法第54条第4項)。

    なお、取締役の辞任登記にあたっては、辞任する取締役の押印がある辞任届が必要となりますので、会社に対して辞任届を提出しましょう。

3、取締役を辞任する場合の注意点

  1. (1)取締役を辞任できないことがある?

    取締役が辞任する場合には、会社に対して辞任の意思表示があれば足りると述べました。

    しかし、場合によっては、そのような意思表示があったとしても、取締役としての権利義務を免れることができない場合があります

    それは、その取締役の辞任によって、欠員が生じる場合です。欠員が生じてしまう場合には、新しい取締役が就任するまでの間、取締役としての権利義務を免れることができません(会社法第346条第1項)。

    取締役会設置会社の場合、取締役の最低人数は3人と定められています(会社法第331条)。したがって、取締役の1人が辞任することによって、取締役の人数が3人未満となってしまう場合には、その取締役は辞任することができません。

    そのため、現状取締役が3人しかいないときに辞任したいと思ったら、取締役の人数が不足しないように、後任の取締役を用意しておかなければなりません

    もし、後任の取締役を用意することができないときには、取締役会を廃止し、取締役の最低人数を1人でも足りる状態にする、という方法もあります。

  2. (2)損害賠償責任を追及される可能性

    取締役は任期中いつでも辞任できますが、その時期によっては、会社から損害賠償請求を受ける可能性があります(民法第651条)。

    第651条によると、やむを得ない事由なく、会社にとって不利な時期に取締役を辞任した場合には、その取締役は会社に対して損害賠償しなければならなくなる可能性があるのです。

    具体的にどのような事情があるときに「不利な時期」といえるかは、個別の事案によってことなります。たとえば、辞任しようとしている取締役がいなくなったら失注してしまう案件があったり、業務が進まなくなったりするような場合には、「不利な時期」と判断されてしまうかもしれません。

    したがって、任期中に取締役を辞任する場合には、辞任することによって会社に損害を与えないように注意を払わなければならないでしょう

    たとえば、辞任を考えた場合に、辞任する直前まで会社に伝えなければ、その取締役の業務を引き継いだり、後任にふさわしい人材をすぐに用意したりすることができずに、会社の業務に支障が生まれます。そのため、取締役を辞任する場合には、なるべく早期に会社にその旨を伝え、事業の運営に支障が出ないように心がける必要があります。

  3. (3)辞任したことを登記に反映させること

    委任契約の解除によって、取締役を辞任できるといっても、辞任登記をしないまま、ほったらかしてはいけません

    退任する取締役が辞任届を会社に提出したあと、会社がその取締役の辞任登記を行わなかったとしても、原則として、その取締役が第三者に対して、取締役としての責任を負うことはありません。

    ただし、判例は、辞任登記未了の元取締役の第三者に対する責任について、①辞任したにもかかわらず、「なお積極的に取締役として対外的又は内部的な行為を敢えてした場合」(最三小判昭37年8月28日)、または、②取締役を辞任した者が、会社の代表者に対し、「辞任登記を申請しないで不実の登記を残存させることにつき明示的に承諾を与えていたなどの特段の事情」が存在する場合にのみ責任が認められる(最高裁昭和62年4月16日)、としており、特段の事情がない限り、辞任登記未了取締役は第三者に対して責任を負わない、としています。

    もし、辞任する取締役が会社に対して辞任登記手続を求めたにもかかわらず、会社が手続きに応じてくれない場合には、その取締役は、会社に対して、変更登記手続を請求する訴えを提起することができます。

    その訴えで勝訴した場合、その取締役は、会社の関与なく会社の登記を変更し、退任の登記をすることが可能です。

4、社内で穏便に解決が望めない場合は弁護士へ相談を

以上に、任期満了前に取締役を辞任する方法・注意点を解説しましたが、場合によっては、穏便に辞任することができずに、会社との間でトラブルになってしまうこともあります。

辞任したのに登記を変えてもらえない、辞任したことを理由に損害賠償を請求されたということがあれば、速やかに弁護士に相談し、自分自身の身を守りましょう。

取締役を辞任することはいつでもできるものの、会社との間でトラブルを生じることを防ぎ、円満な退職を達成するための下準備をしておくことが大切です。

もし、トラブルが起こってしまった場合には、こじれてしまうまえに、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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