単身赴任中に不倫された! 離婚方法と慰謝料請求について解説
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静岡県が公表している統計資料によると、令和2年の静岡県内の離婚件数は5474件で、そのうち、浜松市内の離婚件数は1113件でした。離婚原因のひとつとして挙げられるのが相手の不貞行為です。
たとえば、遠方に単身赴任中の夫が、家族とのコミュニケーションが減ったことで不倫をしてしまうといったケースです。このような事実が判明すれば、妻の気持ちは離れ、離婚を考えることもあるでしょう。
では単身赴任中の夫と離婚をしたい場合、具体的に、何からどのように進めていけばよいのでしょうか。今回は、単身赴任中に不倫した夫と離婚する方法と、妻から慰謝料請求をする際の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。
1、単身赴任中に不倫するのはなぜ?
単身赴任中に不倫をしてしまうのはなぜなのでしょうか。以下では、単身赴任中に不倫をするのか、考えられる理由について紹介します。
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(1)ひとりの寂しさを紛らわすため
家族一緒のにぎやかな生活環境から一転、単身赴任でひとり暮らしになると、寂しさを強く感じる人もいます。ひとりの環境に寂しくて耐えきれなくなると、心のより所や癒やしを求めて、配偶者以外の異性と不倫をしてしまうことがあります。
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(2)家族がいる実感が薄れるため
単身赴任中の生活に慣れてくると、家族がいる実感が薄れ、独身時代に戻ったかのような錯覚に陥ることがあります。毎日、妻や子どもと顔を合わせていれば不倫という愚かな行動に走ることはありませんが、家族の監視がなくなると抑止力がなくなり、不倫をしてしまう人もいます。
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(3)時間に余裕があるため
家族と生活しているときは、平日の夜や休日は、不倫をする時間的余裕がない人がほとんどです。しかし、単身赴任中は自由な時間を持つことができるため、暇を持て余して異性との交際に走るケースもあるでしょう。また、単身赴任中は、同僚などから飲みに誘われる機会も多いため、異性との出会いの機会が増えるのも不倫をする要因のひとつといえます。
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(4)性欲を発散するため
単身赴任中は夫婦の性交渉の機会が極端に少なくなります。若くて健康な男性であれば、性欲を持て余してしまい、性欲を発散する目的で、不倫相手をつくってしまうこともあります。
2、単身赴任中の配偶者と離婚するには
単身赴任中の配偶者との離婚は、以下のような方法で進めていきます。
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(1)協議離婚
配偶者と離婚をする場合には、まずは配偶者と離婚に向けて話し合いを行います。お互いに離婚することに合意できたら離婚届に記入をして、市区町村役場に提出すれば離婚成立です。
なお、離婚時に慰謝料や養育費などの支払いを取り決めがある場合には、口頭で終わらせるのではなく、必ず離婚協議書を作成するようにしましょう。離婚後のお金の支払いに関するトラブルを回避するためには、離婚協議書を公正証書にしておくのがおすすめです。 -
(2)調停離婚
配偶者が単身赴任中の場合、意見の隔たりが大きいなどの理由で離婚の話し合いが進まないことも珍しくありません。話し合いで離婚の合意に至るのが困難な場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる方法があります。
離婚調停では、決められた調停期日に裁判所に出向き、調停委員を介して話し合いを進めていきます。冷静な第三者である調停委員を介すことで、離婚に向けての進展が期待できるでしょう。
ただし、離婚調停を利用する場合、当事者間の合意がない場合には、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをしなければなりません。単身赴任中の配偶者が遠方に居住しているのであれば、家庭裁判所に電話会議などを利用することを相談したりすることもできますが、認められない場合には、調停の度に時間も交通費もかかります。裁判所に通うことが可能かどうか、考慮した上で申し立てるようにしましょう。 -
(3)裁判離婚
調停でも離婚の合意に至らなかった場合、調停は不成立となり、最終的に家庭裁判所に離婚訴訟を提起することができるようになります。
裁判では、離婚するかどうかは当事者の話し合いではなく、裁判所が法定離婚事由の有無を踏まえて判断します。単身赴任は、それ自体は法定離婚事由に該当しませんが、単身赴任中に配偶者が不倫をしているなど、法定離婚事由がある場合には、その離婚事由を立証できれば、離婚が認められるでしょう。
なお、裁判離婚の場合には、訴えを提起する裁判所は、夫または妻の住所地を管轄する裁判所となります。
3、不倫の慰謝料請求する場合の注意点
不倫の慰謝料請求をする場合には、以下の点に注意が必要です。
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(1)慰謝料の相場はケース・バイ・ケース
不倫慰謝料は、以下のような事情を総合的に考慮して決定されます。
- 不倫の期間
- 不倫の頻度
- 婚姻期間
- 不貞前の夫婦関係が円満であったか
- 不倫が婚姻関係に与えた影響
- 不倫相手の妊娠の有無
不倫慰謝料の金額は、上記のような個別具体的なケースに応じて変わってきます。不倫の慰謝料は、一般的には50万円から300万円といわれていますが、非常に幅のある金額ですので、事案に応じた適切な金額はいくらになるか、事前に弁護士に相談しておくことをおすすめします。
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(2)不倫慰謝料の請求には証拠が必要不可欠
配偶者や不倫相手に慰謝料請求をするためには、不倫があった証拠を収集し、不貞の事実を立証していかなければなりません。
具体的には、以下のような状況証拠を積み重ね、不倫を立証していきます。- 不倫相手とのメッセージのやり取り
- 不倫相手との写真や動画
- ホテルや不倫相手の自宅に泊まったことがわかる写真や動画
- ホテルの領収書
- 興信所の浮気調査報告書
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(3)不倫をした配偶者と不倫相手から二重取りはできない
配偶者が不倫をした場合には、配偶者だけでなく不倫相手に対しても不倫慰謝料を請求することができます。しかし、二人に請求できるといっても適正な慰謝料の金額を超えて二重取りできるわけではありませんので注意が必要です。
たとえば、適正な慰謝料額が200万円だとすると、配偶者と不倫相手の双方に200万円ずつ請求することはできます。しかし、配偶者から200万円の支払いを受けてしまうと、すでに満額の慰謝料を受け取ったことになりますので、重ねて不倫相手から支払いを受けることはできません。 -
(4)一定期間が経過すると時効により慰謝料請求ができなくなる
不倫の慰謝料請求には、時効がありますので、一定期間の経過によって慰謝料を請求する権利を失ってしまいます。
不倫相手への慰謝料請求の場合、不倫の事実と不倫相手を把握したときから3年または不倫があったときから20年が時効期間となります。慰謝料請求をするかどうか悩んでいる間に時効期間が過ぎてしまわないよう、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
4、離婚したいと思ったら弁護士に依頼を
配偶者との離婚をお考えの方は、離婚問題の解決実績がある弁護士に相談してみましょう。
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(1)単身赴任中の配偶者との交渉を任せることができる
離婚をするには、まずは配偶者との話し合いをしなければなりません。しかし、配偶者の単身赴任先が遠方だと直接話し合いの機会をもつことが難しく、電話やメールなどの方法で連絡することになりかねません。
配偶者が不倫を否定したり、離婚を拒否したりする場合には、離婚が成立するまでに長い時間がかかるおそれがあります。
弁護士に依頼をすれば、単身赴任中の配偶者との交渉をすべて弁護士に一任することができます。時間や精神的な負担が軽減できるのはもちろん、当事者同士で話し合いをするよりもスムーズな離婚の成立が期待できます。 -
(2)離婚協議書の作成をサポートできる
単身赴任中の配偶者との離婚では、話し合いの時間が取りにくく、詳細な離婚条件を決めずに離婚をしてしまうケースがあります。しかし、養育費、慰謝料、財産分与といったお金に関する詳細な取り決めは、離婚後の経済的な不安を解消するためにも重要なものです。
弁護士であれば、離婚に至る経緯や夫婦の経済状況なども踏まえて、適切な内容で離婚条件を定めることが可能です。合意した離婚条件については、公正証書による離婚協議書を作成することで、将来、不履行になった際も、訴訟などの手続を経ずに執行することができます。
5、まとめ
単身赴任中は、ひとり暮らしの寂しさや時間的余裕があることから、不倫をしてしまう人も少なくありません。不倫は、法定離婚事由のひとつである「不貞行為」に該当しますので、配偶者が離婚を拒否したとしても離婚をすることが可能です。また、不倫をした配偶者や不倫相手に対しては、慰謝料請求をすることもできます。
ただし、不貞を立証するための証拠収集や、適切な条件で離婚するための交渉には弁護士のサポートが重要です。ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスには、離婚問題の解決実績がある弁護士が在籍しています。親身にお話をヒアリングしますので、まずはお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています