不当解雇の証拠とは? 自分で証拠集めが難しい場合はどうすれば?
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総務省の統計によると、2020年4月~6月平均の静岡県における完全失業率は2.2%で、全国平均である2.8%を下回っています。
なお、2020年1月~3月平均の完全失業率と比べると0.2ポイントの増加となっています。
会社から合理的な理由なく解雇されてしまった場合、不当解雇として違法の疑いがあります。例えば、新型コロナウイルスの影響で会社の経営が厳しいとしても、解雇は簡単には正当化されません。
基本的には、会社側に労働者に解雇理由となる具体的事実があることを立証する責任があるとされていますが、会社側の主張に対して労働者は十分な反論ができるように準備しておく必要があります。
労働者としての権利を守るためには、不当解雇であることの証拠を確実に集めることが重要です。
この記事では、不当解雇を証明する証拠の種類や、自力で証拠を収集できない場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。
1、もしかして不当解雇?
会社から突然解雇されてしまった場合、まずは不当解雇ではないかということを疑いましょう。
以下では、そもそも不当解雇とは何かということや、不当解雇に該当するケースの具体例について解説します。
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(1)不当解雇とは?
不当解雇とは、法律上正当な理由がないにもかかわらず、使用者が労働者を解雇する違法行為をいいます。
労働者は、会社などの使用者から受け取る給与収入に生活を依存しているケースが大半です。
そのため、労働者は使用者に対して従属的な立場、弱い立場に立たされているといえます。
こうした状況を踏まえて、労働基準法・労働契約法などの労働法において、使用者が労働者を解雇できる場合は厳しく限定されているほか、解雇に関する手続きについても一定の規制が施されています。
これらの法律上の解雇に関する条件をみたさない状態で、使用者が労働者を解雇した場合、不当解雇として違法・無効となります。 -
(2)不当解雇に該当するケースの具体例
労働法に違反した不当解雇となるケースの具体例をいくつか紹介します。
●懲戒解雇事由に該当しないにもかかわらず、懲戒解雇をした場合
懲戒解雇とは、就業規則違反などの懲戒解雇事由に該当することを理由として、労働者を解雇することをいいます。
懲戒解雇のケースでは、通常の解雇とは異なり、懲罰的な意味合いで退職金が支払われないケースが多くなっています。
懲戒解雇をするためには、労働者に懲戒解雇事由が存在することが大前提となりますので、これがないにもかかわらず懲戒解雇をすることは不当解雇に当たります。
●整理解雇の4要件を満たさないにもかかわらず、整理解雇をした場合
整理解雇とは、経営悪化などを理由とする人員整理を目的として行われる解雇をいいます。
整理解雇をするためには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があり、ひとつでも要件を満たさない場合には、不当解雇となります。
<整理解雇の4要件>- 人員整理の必要性(整理解雇について経営上差し迫った必要性があるか)
- 解雇回避努力義務の履行(経費節減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換などによって、整理解雇を回避する経営努力がなされたか)
- 対象者選定の合理性(誰を整理解雇するかについて、合理的・公平な人選が行われたか)
- 手続きの妥当性(対象者に対する説明・協議などが十分に行われたか)
●上記のほか、解雇権の濫用に該当する場合
労働契約法第16条は、一般的な解雇の制限について以下のとおり定めています(解雇権濫用の法理)。
(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
解雇権濫用の法理は、判例・実務上かなり厳格に捉えられており、使用者にとって解雇は、事実上「最後の手段」としてしか認められないというのが実情です。
●法令上明文で解雇が禁止されているにもかかわらず、解雇した場合
労働基準法の明文で、解雇が禁止されているケースがいくつかあります。
このような場合に労働者を解雇する行為は、明確な労働基準法違反として不当解雇に該当します。
労働基準法において、解雇が明文で禁止されている場合には以下のものがあります。
<労働基準法上禁止される解雇>- 負傷や疾病の療養期間中などに行われる解雇(労働基準法第19条第1項)
- 産前産後休暇中などに行われる解雇(同)
- 解雇予告義務、解雇予告手当支払義務に反する解雇(同法第20条第1項)
- 裁量労働制におけるみなし労働時間制に同意しなかったことを理由とする解雇(同法第38条の4第1項第6号)
- 高度プロフェッショナル制度の適用に同意しないことを理由とする解雇(同法第41条の2第1項第9号)
- 行政官庁、労働基準監督官への申告を理由とする解雇(同法第104条第2項)
2、不当解雇を証明するには証拠が重要 証拠になり得るものとは?
不当解雇を受けたことを主張し、解雇の無効を認めてもらうためには、不当解雇に関する証拠を収集することが重要です。
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(1)証拠が重要になる理由とは?
不当解雇は、最終的には法的手続き(労働審判・訴訟)の場において争われます。
その際、労働者側の不当解雇の主張を正当なものとして認めてもらうためには、客観的な証拠を労働審判委員会や裁判所に対して提出し、自らの主張を立証することが必要です。
そのため、不当解雇の疑いを持った早い段階から、できる限りの証拠を集めておくことが重要になります。 -
(2)不当解雇を証明する証拠の具体例
不当解雇を証明するための証拠としては、たとえば以下のようなものがあります。
- 会社から発行される解雇理由証明書
- 退職勧奨や解雇などについて会社側とやり取りをしたEmail、音声記録など
- 人事評価に関するフィードバック、賞与計算書などの勤務成績に関する資料
これらに限らず、会社から不当な扱いを受けたことの証明に少しでもつながる証拠は、積極的に確保しておくことが大切です。
3、自力で証拠を集めることができない場合の対処法は?
「不当解雇されてしまったのではないか」という疑いを持っても、どのような証拠を集めれば良いのかわからない、または自分でアクセスできる範囲では有力な証拠が十分にそろわない、などということも考えられます。
このような場合には、労働者はどのようにして証拠を集めれば良いのでしょうか。
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(1)弁護士に相談をして証拠収集についてのアドバイスをもらう
不当解雇を争う際には、労働者は弁護士に相談をして、証拠収集についてのアドバイスを求めることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所の弁護士は、不当解雇を争うために有効となる証拠や、それらの証拠を取得する方法について精通しています。
そのため、依頼者にとって必要となる証拠を適切に収集するためのサポートをご提供することが可能です。 -
(2)裁判所に証拠保全の申立てを行う
労働者の側からは、不当解雇を証明するための証拠にアクセスするのが難しいケースもあるでしょう。
特に、不当解雇が行われた後、会社のシステムから締め出されてしまった場合などには、当時のメールのやり取りや就業規則などにアクセスすることが難しくなってしまいます。
このような場合には、裁判所に対して証拠保全の申立てを行いましょう(民事訴訟法第234条)。
証拠保全の申立てを行うと、裁判所が会社側に対して証拠を開示するよう要請し、開示された証拠に基づいて証拠調べが行われます。
裁判所の要請に法的拘束力はないものの、会社が事実上これに従うことも多く、労働者でだけでは獲得できなかった証拠を法的手続きの場に登場させることが可能になります。
証拠保全の手続きは、裁判所を通じた専門的な内容になりますので、詳しくは弁護士にご確認ください。
4、不当解雇を疑った場合に取るべき対応・注意点
会社から不当解雇されたのではないかという疑いを持った場合は、不当解雇を争うための準備と態勢を整える必要があります。
その際、どのような点に注意すべきかについて見ていきましょう。
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(1)会社に解雇理由証明書の交付を請求する
不当解雇を争う際は、労働者は会社の主張する解雇理由に対して反論する形になります。
そのため、まずは会社の主張する退職理由を明確化すべく、会社に対して解雇理由証明書の交付を請求しましょう。
会社には、労働者の請求に応じて、解雇理由証明書を交付する法律上の義務を負っています(労働基準法第22条第1項)。
解雇理由証明書における理由の記載が不明確であったり、不合理であったりした場合には、それだけで労働者にとって有力な反論材料を獲得できたことになります。 -
(2)Emailのやり取りなどを記録・保存しておく
Emailや会話・通話の記録なども有力な証拠となりますので、特に退職勧奨や解雇に関連するやり取りを中心に保存しておきましょう。
ただし、会社のシステムにアクセスできなくなってしまった場合は、Emailなどを保存することが難しいケースもあります。
その場合は弁護士に相談しながら、すでに解説した証拠保全の手続きを利用しましょう。 -
(3)会社から求められても退職届は出さない
もし不当解雇の主張が訴訟などで認められた場合、労働者は会社の従業員としての身分を回復することができます。
しかし、その時点ですでに労働者側から会社に対して退職届が提出されていた場合、労働者は従業員としての身分を自ら放棄した、と捉えられかねません。
もちろん、事実上会社から強制されて退職届を提出せざるを得なかった、などと反論することは考えられます。
しかし、弱点を増やすことがないように、会社から求められたとしても、退職届は決して提出しないようにしましょう。
5、まとめ
不当解雇を受けたのではないかと疑問に思った場合には、後の労働審判や訴訟に備えて、集められる限りの証拠を集めておくことが重要です。
不当解雇や残業代請求などの労働紛争について、どのような証拠をどのような方法で集めれば良いかについては、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士にご相談ください。
なお、不当解雇が裁判等で認定された場合でも、現実的には会社に復職するのが事実上困難な場合が多いと思います。このような場合には解決金の支払いによる金銭解決になる場合も多いと思います。
ベリーベスト法律事務所は、労働紛争に関する豊富な経験をもとに、依頼者が置かれている状況や会社側の態度などを踏まえて、労働紛争を解決するための適切な戦略を策定し、依頼者が最大限の利益を得られるよう、全力を尽くします。
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