残業代請求のためのポイントや流れを、浜松の弁護士が解説!
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平成26年、静岡県労働局が100万円以上の残業代が不払いであるとして、33の企業に是正を求めました。対象になった労働者は約4000人にのぼっています。
浜松市内で働いている方の中にも「サービス残業をしているけど、残業代はいつか請求したい」と思っていらっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは残業代を請求するにあたって、押さえておきたいポイントを浜松の弁護士が解説します。
1、残業代が発生しない場合があることに注意しよう
労働基準法では、「1日8時間、週40時間」が法定労働時間として定められています。この時間を超えて働いているなら、残業代が支払われる可能性があります。
しかし、残業をしていても、給与体系・雇用形態などによって支払われないケースもあるので注意が必要です。まずは自分がどういう立場、契約で働いているかを確認しましょう。以下のケースは、残業代が支払われない典型例です。
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(1)みなし労働時間制や年棒契約で、残業代が一定程度給与に含まれている
「みなし労働時間制」とは、外で働く営業職や研究職など、労働時間が計算しづらい職種の場合に採用される制度です。あらかじめ一定時間の残業代を給与に含めることになりますので、その一定時間内の残業であれば、追加の残業代は発生しないことになります。
また、会社と年棒契約を結んでおり、固定残業代が契約の中に含まれている場合にも、追加の残業代が支払われません。ただし、固定残業代の契約は、基本給のうち割増賃金部分が明確に区分されて合意がされ、実際の割増賃金部分がその額を上回る場合にはその差額を支払うことが合意されていることが必要です。 -
(2)管理職という立場で働いている
立場が管理職の場合は残業代が支払われないケースがあります。労働基準法においては、管理職は以下のように定められています。
第41条
この章、第6 章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の1に該当する労働者については適用しない。
2項 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
この条文により
- 経営に関与していたり、一部門を管理していたりする
- 自分で労働時間を決められる(遅刻や早退を理由に給与が減ることはない)
- 管理職として高い賃金を得ている
といった立場の人であれば、残業代を請求することはできなくなります。
ただし、「名ばかり管理職」という、契約上や役職名は管理職らしいのに上記にあてはまらないという場合には、残業代を請求できる可能性が高まります。法律用語でいうと労働者かどうかについて「使用従属性」の有無が争点になります。
また、この他にも- 既定の労働時間では絶対に終わらない業務量である。
- サービス残業を強要されている。
といった場合には残業代を請求できる可能性が高いといえるでしょう。
まずはご自身の状況や契約条件の確認をしてみましょう。
2、残業代請求をするためには、証拠と残業代計算が必要
残業代を請求するためには、自分がどのくらい残業していたかを示す証拠が必須となってきます。さらに、残業代を計算するための資料も必要です。
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(1)残業していたことを示す証拠とは
自分の労働時間を占めるタイムカードなどは重要な証拠となりますが、それ以外にも残業していた証拠となるものはたくさんあります。
たとえば、業務日報やIDカードの入出館記録、業務として送ったメールやチャットの送受信時間、家族へ送った帰宅を知らせるメールなども証拠になります。勤務のことに触れている、プライベートの日記も証拠となりますが、その際は改ざんなどが疑われないよう、手書きですることが望ましいでしょう。自宅と職場間のスマホのGPS移動履歴も利用可能です。利用できそうな証拠があれば、スマートフォンで撮影しておくこともおすすめします。
また、もし会社が証拠を隠してしまったとか、証拠を出してくれないという状態であれば証拠保全手続きをすることも可能です。 -
(2)残業代の計算をしよう
残業をしていたことを示す証拠を探すのと同時に、残業代を計算するための資料を集め、あなたの残業代を試算しなければなりません。会社に対して具体的な請求をするためには、
いくら残業代があるか明確にしておかなければならないからです。
残業代を計算するための資料としては、たとえば雇用契約書、就業規則、給与明細などがあげられます。
当事務所では残業代がすぐわかるツールも用意しておりますので、ぜひご活用ください。
残業代チェッカー -
(3)会社に残業代を請求する流れ
残業代を請求する流れは、以下の通りです。
●まずは会社と直接交渉する
まずは使用者に対して、未払い残業代を払うよう交渉しましょう。自分で交渉することも可能ですが、この段階で弁護士に依頼すると、会社との交渉で心理的ストレスを感じることなく、法律を駆使した的確な交渉を進めることが可能です。
●労働基準監督署へ申告する
直接交渉ができなかった場合には、労働基準監督署へ申告をします。十分な証拠があれば、行政からの指導により、未払い残業代が支払われる可能性もあります。
●労働調停・審判を使う
労働審判とは、通常の裁判よりも簡易的にトラブルを解決することを目的とした制度です。
双方が主張や証拠を提出し、それを基に、当事者と裁判官・労働審判員とで話し合います。裁判所側から調停案(解決策のこと)が出されますが、それに双方が納得できない場合には、労働審判委員会が労働審判を下します。
●労働訴訟を提起する
労働審判でも解決できなかった場合には、未払い残業代の支払いを求めて通常の訴訟を起こすことになります。
3、残業代請求には時効がある
「残業代を請求したい!」と思ったら、なるべく早めに証拠集めや手続きを始めたほうがよいでしょう。なぜなら残業代が請求できる期限は、請求できるようになった日から2年と民法で定められているからです。(なお、民法改正に伴う労働基準法改正により、2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金についての残業代の消滅時効は、3年になります。)
また、時間がたてばたつほど証拠集めも難しくなってくるでしょう。残業代をいつ請求すればよいか迷われているのでしたら、弁護士に法的なアドバイスを求めることをおすすめします。
4、弁護士に依頼するメリットとは
残業代を請求することを考えていらっしゃるのであれば、弁護士への相談がおすすめです。
時効に関するアドバイスのほかにも、以下のようなメリットが考えられます。
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(1)交渉のプロだから、有利な条件を引き出しやすい
未払いの残業代請求はご自身で進めることも、もちろん可能です。しかし、弁護士に依頼すれば、法律に基づいた有効な主張ができ、交渉を有利に進められる可能性が高まります。またいざ審判や訴訟になった場合でも、すでに弁護士に依頼しているのでしたら、安心して交渉を進めることができるでしょう。
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(2)心理的なストレスや、問題解決までの手間の削減ができる
ご自身で、会社との交渉を行った場合には、強い心理的負担がかかってしまうことも考えられます。しかし、弁護士に依頼をすれば、会社との交渉を代理で行いますので、ストレスの軽減にもつながります。また、必要書類の作成や裁判手続きなども弁護士が代わりに行いますので、問題解決までの手間や時間の短縮が可能です。
5、まとめ
残業代を請求するためには、さまざまな証拠や書類、手続きが求められます。また会社との交渉で神経をすり減らしてしまう可能性もあるでしょう。もし残業代請求を考えていらっしゃるのでしたら、まずはベリーベスト法律事務所 浜松オフィスへご相談ください。経験豊富な弁護士が、問題解決に向けて全力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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