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贈与と譲渡の違いとは? 不動産を相続する際の手続きや注意点

2023年02月22日
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贈与と譲渡の違いとは? 不動産を相続する際の手続きや注意点

浜松市の統計によると、2020年の静岡県浜松市の出生者数は5628人、死亡者数は8518人でした。

少子高齢化の影響で、相続問題も増え、将来を見すえて相続・贈与・譲渡に関心をもつ方も増えつつあります。

今回は不動産の相続・贈与・譲渡の違いや注意点などを、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。

出典:「浜松市統計書 令和3年版」(浜松市)

1、不動産の「相続」「贈与」「譲渡」の違い

家族に不動産を譲る方法には、主に相続・贈与・譲渡があります。それぞれの違いについて、法律・税金のルールを確認しておきましょう。

  1. (1)「相続」「贈与」「譲渡」とは

    相続・贈与・譲渡の法律上の意義は、以下のとおりです。

    (a)相続
    亡くなった人(被相続人)が死亡時に有した遺産を、相続人が取得することをいいます。

    (b)贈与
    贈与者が所有する財産を、受贈者に対して無償で移転することをいいます。

    (c)譲渡
    所有する財産を、第三者に対して所有権を移転することをいいます。
    以下では、売買によって有償で所有権を移転することを譲渡と表現します。
  2. (2)課される税金の違い

    相続・贈与・譲渡によって取得した財産については、それぞれ以下の税金が課されます。

    (a)相続
    課税遺産総額のうち、基礎控除額※を超える部分について相続税が課されます。
    ※基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

    (b)贈与
    原則として、年間110万円を超える部分について贈与税が課されます。

    (c)譲渡
    譲渡益について所得税(復興特別所得税を含む)・住民税が課されます。
  3. (3)特別受益に関する違い

    相続人が被相続人から特別に受けた遺贈・贈与を「特別受益」といいます(民法第903条第1項)。相続分を計算する際、特別受益のある相続人の相続分は減り、それ以外の相続人の相続分は増えます。

    贈与については特別受益として考慮されますが、譲渡については特別受益として考慮されないという違いがあります。

  4. (4)遺留分侵害に関する違い

    兄弟姉妹以外の相続人には、相続等により取得できる財産の最低保証額である遺留分が認められています(民法第1042条第1項)。

    遺留分額は、元の相続財産に遺贈・贈与を考慮した額に対して、各相続人の遺留分割合を掛けて計算します。したがって、贈与は遺留分計算の際に考慮されますが、譲渡は考慮されないという違いがあります

  5. (5)登記手続きの違い

    取得した不動産について所有権移転登記手続きを行う場合、取得原因が登記簿上に記載されます。相続であれば「相続」、贈与であれば「贈与」、譲渡であれば「売買」となります。

    贈与と譲渡の場合は、当事者(贈与:贈与者と受贈者、売買:売主と買主)が共同で登記手続きを行います。

    これに対して相続の場合は、相続する人が登記の申請人となります。遺言執行者がいる場合は、遺言執行者が単独で登記手続きを行うことができます。

2、不動産を贈与する際のポイント

家族などに不動産を贈与する場合、または不動産の贈与を受ける場合には、特に以下のポイントにご留意ください。

  • 贈与契約書を作成する
  • 贈与税の取り扱い、控除、納税資金を確認する
  • 贈与後は速やかに登記手続きをする


  1. (1)贈与契約書を作成する

    不動産のような高額資産を贈与する場合は、必ず贈与契約書を作成しましょう。

    <贈与契約書の記載事項>
    • 贈与する不動産の情報(不動産の表示)
    • 贈与実行日
    • 持ち戻し免除の意思表示(民法第903条第3項)
    など


    特に相続との関係では、特別受益の持ち戻し計算により、受贈者の相続分が減ってしまう可能性があります。それを避けるためには、贈与契約書に持ち戻し免除の意思表示を記載しておくのがよいでしょう。

  2. (2)贈与税の取り扱い・控除・納税資金を確認する

    不動産を贈与した場合、受贈者に対して贈与税が課される可能性が高いです。どのくらいの贈与税が課されるのか、納税資金は確保できるのかなどを事前に確認しましょう。

    なお、贈与税の課税をシミュレーションする際には、利用できる特例・控除がないかもご確認ください。

    (例)
    • 暦年贈与の基礎控除(年間110万円まで非課税)
    • 相続時精算課税制度(トータル2500万円まで非課税、ただし相続税が課税される)
    • おしどり贈与の特例(婚姻期間20年以上の配偶者に居住用不動産等を贈与した場合、基礎控除とは別に2000万円まで非課税)
    • 住宅取得資金等の一括贈与の特例(省エネ住宅等であれば1000万円まで、それ以外の住宅であれば500万円まで非課税)
  3. (3)贈与後は速やかに登記手続きをする

    不動産を贈与した後、贈与者の気が変わって、別の人に不動産が贈与されてしまうケースもないわけではありません。

    その場合でも、先に登記を備えておけば、不動産の所有権を確定的に取得できます(民法第177条)。不動産の贈与を受けたら、速やかに登記手続きを行いましょう。

3、不動産を譲渡する際のポイント

家族などに不動産を譲渡する場合、または譲渡を受ける場合には、特に以下のポイントに注意が必要です。

  • 売買契約書を作成する
  • 利益が出た場合は確定申告が必要
  • 所有期間が5年を超えると、譲渡所得税等が軽減される
  • 著しい低額による譲渡は、課税上「贈与」とみなされる


  1. (1)売買契約書を作成する

    贈与の場合と同様に、譲渡の場合も契約書を作成することが重要です。

    <売買契約書の記載事項>
    • 譲渡する不動産の情報(不動産の表示)
    • 譲渡代金
    • 譲渡実行日
    など


    多額の金銭のやり取りが発生するので、トラブルを避けるためにも、必ず売買契約書を作成しておきましょう。

  2. (2)利益が出た場合は確定申告が必要

    不動産の譲渡により、売主の側で利益が出た場合には、譲渡所得税の確定申告が必要になります。

    確定申告の時期は原則として、譲渡実行日の翌年2月16日から3月15日です。普段確定申告をしない方は、申告方法を確認しておきましょう。

  3. (3)所有期間が5年を超えると、譲渡所得税等が軽減される

    譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超える不動産を譲渡した場合、譲渡所得税・住民税の税率が以下のとおり軽減されます。

    <譲渡所得税の税率>
    短期譲渡所得(5年未満) 30.63%(復興特別所得税0.63%を含む)
    長期譲渡所得(5年以上) 15.315%(復興特別所得税0.315%を含む)


    <住民税の税率>
    短期譲渡所得(5年未満) 9%
    長期譲渡所得(5年以上) 5%


    不動産の譲渡によって多額の利益が出そうな場合は、所有期間が5年を超えるまで待つのも一つの選択肢です。

  4. (4)著しい低額による譲渡は、課税上「贈与」とみなされる

    不動産の譲渡価格があまりにも低額である場合は、時価と譲渡価格の差額が「贈与」とみなされ、贈与税が課税される可能性があります(相続税法第7条)。

    贈与税の課税を回避するには、家族に対する譲渡であっても、不動産相場を踏まえて適正な譲渡価格を設定することが大切です。

4、家族に不動産を譲る場合|「相続」「贈与」「譲渡」どれを選ぶべき?

家族に不動産を移転する際、結局のところ「相続」「贈与」「譲渡」のうちどれを選ぶべきなのでしょうか。ケースバイケースの判断が求められますが、以下では大まかな方針を紹介します。

  1. (1)「譲渡」は相続対策にならない|基本的には「相続」か「贈与」

    家族に対して不動産を移転する目的は、相続を見据えた対策であるケースが多いかと思います。

    この点、「譲渡」は相続財産の金額を減らすものではないため、相続税を軽減する効果はありません。したがって、相続との関連で家族に不動産を移転する場合、基本的には「相続」か「贈与」のいずれかを選択すべきでしょう。

  2. (2)早めに活用してもらいたいなら「贈与」

    「贈与」の大きなメリットは、贈与した時点からすぐに財産を活用してもらえることです。

    子どもや孫などに早く不動産を活用してもらいたい場合には、贈与を選択するのがよいでしょう。

  3. (3)税金にも注目|各種控除・特例を踏まえてシミュレーション

    「相続」については相続税、「贈与」については贈与税という異なる税金が課され、それぞれ税率や適用できる控除・特例などに差があります。

    相続か贈与かを選択する際には、各種控除・特例を踏まえてシミュレーションを行い、最終的な税額を抑えられる方を選択するのも一つの方法です。相続対策などを弁護士にご相談いただく際、必要に応じて税理士のご紹介もできますので、お気軽にお申し付けください。

5、まとめ

不動産を家族へ移転する方法には、主に相続・贈与・譲渡の3つがあります。税金・法律のルール・家庭の事情などを踏まえて、適切な方法を選択することが大切です。そのためには、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、グループ内の税理士・司法書士や不動産会社などと連携して、相続手続き・相続対策を総合的にサポートいたします。遺産相続に関するお悩みや疑問点は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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