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店舗に来たクレーマーを不退去罪で撃退できる?

2021年09月21日
  • 一般企業法務
  • 不退去罪
  • 店舗
店舗に来たクレーマーを不退去罪で撃退できる?

「お客さまは神様」という、もてなす側の心がまえを表した言葉がありますが、中には自分こそ神様といわんばかりの傍若無人な振る舞いをする人もいます。中には、店員に対して激しく怒鳴ったり、侮辱したり、中には土下座を求めたり、なんていうこともあります。また、ネチネチとしつこく文句をいって、なかなか店から出ていかないということもあるでしょう。

静岡県では、2021年6月に、数カ月にわたり商業店舗に無言電話などをかけ続けた人を偽計業務妨害の疑いで逮捕しています。上記は嫌がらせ電話の事例ですが、実際にこういった困った方が店舗に来てしまった場合、なんらかの犯罪に当たらないのでしょうか。

そこで、今回は不退去罪をはじめとし、クレーマーに適用できる犯罪について解説するとともに、クレーマー対応のポイントについて解説します。

1、不退去罪とは

  1. (1)不退去罪の概要

    不退去罪とは、人の住居や、人が管理する建造物などにおいて出ていくように要求されたにもかかわらず、その場から立ち去らないときに成立しうる犯罪です。(刑法第130条)

    よく似た罪に住居侵入罪がありますが、この2つの違いは、その住居や建造物に立ち入った当初には正当に立ち入ることが認められていたか否かです。当初から立ち入る権限がなければ住居侵入罪、立ち入ったあとに権限を失ったのであれば不退去罪と判断されるでしょう。

    たとえば、訪問販売員が家にセールスに来て、少し話を聞いてもいいかと思い家に入れたが、その後買う意思がないため、「帰ってほしい」と再三伝えたにもかかわらず、居座るような場合、不退去罪に該当する可能性があります。

  2. (2)クレーマーに不退去罪が成立しうる場合

    たとえば、店側の行為に対して文句を言い出し、店側が店から出ていくように求めているもかかわらず、延々とクレームを続け何時間も店に居座ったような場合には、不退去罪が成立することがあります

    実際にあった事案では、会社員の男がラーメン店でギョーザとラーメンを注文した際に、ギョーザを先に出すように頼んだにもかかわらず、ラーメンが先に出てきたことに激怒し、店長と口論になり、3時間にわたって同店に居座ったという事件で、男は不退去容疑の現行犯で逮捕されました。

2、クレーマーに適用できる罪は他にも

クレーマーに成立しうる犯罪は、不退去罪以外にもさまざまなものがあります。

  1. (1)脅迫罪

    クレーマーは時に過激なことを言い出します。
    「店に火をつけてやる」、「殴ってやる」などと、身体や財産などに対して危害を加えるといって相手を脅す行為には、脅迫罪(刑法第222条)が成立する可能性があります。

  2. (2)強要罪

    店員に対して、商品・サービスなどに難癖をつけ、店員に土下座させ、その様子を加害者自信がSNSにアップし、炎上するという事件が2010年代に立て続けに起こりました。
    このような行為には、強要罪(刑法第223条)が成立する可能性があり、実際に逮捕されたケースもあります

    強要罪は、懲役刑の適用があり、決して軽い罪とはいえません。

  3. (3)業務妨害罪

    クレーマーは、店側を脅したり、難癖をつけたりすることで店側の営業の邪魔をしてきます。
    たとえば、お店であるブランド商品を買った場合に、それが本物のブランド商品であるにもかかわらず、「●●店に偽物を売りつけられた」などと周りに吹聴したり、SNSに書き込んだりすることもあるでしょう。

    このような行為は、うそを言いふらして、店の客が減る可能性がある行為であるといえますから、偽計業務妨害罪(刑法第233条)が成立する可能性があります

    違う事例についても考えてみましょう。たとえばスーパーのレジで、「この食品を食べてアレルギーを起こしたから治療費を払え!」と難癖をつけてきた客がいたとします(なお、その商品にはきちんとアレルギー成分についての表示がなされており、その客が見落としただけだと仮定します)。

    これを受けた店員が、「アレルギー成分表示がきちんとなされている」と指摘すると、逆ギレし店員に暴言を吐く、陳列商品を落とすなどの行為に出ました。このような行為は、「威力」を用いてお店の営業を邪魔する行為といえますから、威力業務妨害罪(刑法第234条)が成立する可能性があります

  4. (4)恐喝罪

    クレーマーは、「誠意を見せろ!」などと言って、おわびとしてお金や商品を要求してくることがあります。

    もちろん、店側としてはきっぱりとお断りするべきですので、断ると、「ならば本社に店員の悪評を告げる」、「ならば店の物を壊す」などと言って、脅して店の財産を奪い取ろうとすることがあります。

    このように、人を脅して財産を得る行為には恐喝罪(刑法第249条)が成立する可能性があります。恐喝罪は、法定刑の最長で10年となっており、決して軽視できない重い犯罪行為です

3、クレーマーと相対するときに気を付けるべきこと

クレーマーは、大きな声を出したり、強い言葉を使ったりして、店員に詰め寄ります。

もちろん、店側に落ち度がある場合は、その限りでおわびなどの対応をしたほうが沈静化につながることもあります。また、相手の話を根気強く聞いてあげると相手の気持ちが落ち着くということもあるでしょう。非が無いのに謝罪すると非を認めたとことにされる危険もあり、安易に謝罪しない方が良い場合もあります。

「慰謝料を払え!」、「家まで直接謝罪に来い!」、「この店員をクビにしろ!」など応じる義務のない無理難題を、さらに突き付けてくるクレーマーもいます。

そうなったとき、店員の方としては、とても怖い、あるいはとても腹立たしく、屈辱的でしょう。
しかし、ここで怖くてクレーマーの言いなりになってしまっては、クレーマーの思うつぼです(暴力などをふるってきそう、あるいは振るわれた場合には、すぐに警察を呼んでください)。また、クレーマーと同じようにヒートアップしてもいけません。それは店側の立場を危うくすることにつながりかねないからです。

クレーマーの要求に対しては、「申し訳ございませんが、お客さまのご要望には対応いたしかねます。」と、丁寧に、そして明確に拒絶の意思を示しましょう

ひとりでクレーマー対応をすると危険なこともあるので、可能な限り複数名で対応したほうがいいでしょう。できればメモや録音を残すことも、今後の展開を有利に進めることにつながります。

4、顧問弁護士をつけるメリット

クレームにも、さまざまな内容・態様のものがありますから、どのように対応するのがベストなのかの判断は簡単ではありません。

クレーム対応に困った場合に、すぐに相談できる専門家がいれば、対応を誤って事態を複雑化させるリスクを減らせます。また、弁護士であれば、クレーマーとの交渉を引き受けてもらうことも可能です。

クレーマーとのやりとりは、店側にとっても精神的な負担が大きいですが、頼れる専門家がいることで、その負担を軽くすることができるでしょう

また、顧問弁護士をつけておくことは、その店のことをよく知った専門家に、新しく弁護士を探すよりも迅速に対応してもらえるというメリットがあります。

5、まとめ

クレーマーによる行為は、ただの迷惑行為にとどまらず、犯罪が成立しうる行為であることを解説いたしました。

クレーマーはある日突然やってくるもので予想がつきませんから、事前に、クレーマー対応の準備をしておくことが肝要です。

まずは、店員の方一人一人が、クレーム対応方法についてしっかり理解するとともに、対応に困った場合にはその場で決断するのではなく、顧問弁護士などの専門家に相談したうえで、慎重に対応しましょう

当事務所では、月額3980円(税込)から利用できる顧問弁護士サービスをご用意しております。

クレーマーに悩んでいる、必要な分だけの顧問弁護士サービスを利用したいとお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスまでご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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