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アルバイト(パート社員)解雇の留意点や会社側のリスクとは?

2020年12月07日
  • 労働問題
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アルバイト(パート社員)解雇の留意点や会社側のリスクとは?

浜松市を管轄する厚生労働省静岡労働局では、令和元年度の個別労働紛争解決制度の施行および相談の状況を公表しています。それによると、令和元年度の民事上の個別労働紛争相談件数は6834件あり、そのうち解雇に関する相談は778件にのぼりました。

アルバイトを雇っている企業の経営者や人事担当者の中には、アルバイトの問題行動や企業の経営状況などの理由から、アルバイトの解雇を考えたことも、あるのではないでしょうか。正社員と違い、アルバイトであればすぐ解雇できると思われているかもしれません。

しかし、アルバイトであっても、法律上の手続きに沿って行わなければ、不当解雇として後々争いになるケースもあります。新型コロナウイルスの影響で会社の経営が厳しいとしても、解雇は簡単には正当化されません。
今回は、アルバイト(パート社員)を解雇するときの留意点や会社側のリスクについて、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。

1、アルバイトは解雇できるのか?

アルバイトを解雇する場合には何か制限はあるのでしょうか。アルバイトは正社員よりも解雇がしやすいと思われがちですが、解雇をする場合には法規制があります。以下で見ていきましょう。

  1. (1)アルバイト(パート社員)とは?

    そもそもパートタイム労働者とは、一週間の所定労働時間が、同じ事業所で働く正社員よりも短い労働者のことをいいます。
    従業員募集の際に、学生に対しては「アルバイト募集」、主婦に対しては「パート募集」と区別してなされていることがありますが、それらは便宜上の区別に過ぎず、法律上は、アルバイトもパートも、「パートタイム労働者」に含まれることになります

  2. (2)正当に解雇するための要件

    アルバイトを解雇するためには、アルバイトの契約条件が有期契約か無期契約かによって異なりますので、以下では、それらを区別して説明します。

    ●アルバイトが有期契約の場合
    アルバイトの場合は、1年契約などの、期間の定めのある契約をして採用されるのが通常であると思います。
    そして、有期契約の労働者を解雇する場合には、労働契約法17条によって
    「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」
    と定められています。

    有期契約は、期間満了まで契約関係が維持することを前提に締結されるものであるため、当事者の契約存続に対する期待を、強く保護する必要があります

    そのため、労働契約法17条の「やむを得ない事由」とは、期間の定めのない労働契約における解雇に必要とされる、客観的に合理的で、社会通念上相当と認められる場合よりも、さらに限定的・制限的な事由だと考えられています。

    一般的にいえば、期間満了を待てないような、すぐに雇用を終了しなければならない特別の重大な事由といわれています。

    ●アルバイトが無期契約の場合
    バイト先やパート先から、期間の定めなく雇用されているアルバイトを解雇しようとする場合には、労働契約法16条によって、解雇に客観的合理的な理由があり、解雇が社会通念上相当といえる場合でなければ無効となります。

    「客観的合理的理由がある」とは、就業規則などで解雇事由が記載されている場合には、労働者の行為が、就業規則などで定められた解雇事由に該当するかどうか、がポイントになります。

    また、「社会通念上解雇が相当であると」は、解雇が最終的な手段であることに鑑み、解雇以外の手段では対応することができないといえることが必要になります。

    ●整理解雇をする場合
    会社が、経営不振や企業経営上の理由などから、人員削減を目的として行う解雇のことを「整理解雇」といいます。業績不振な企業としては、正社員よりもアルバイトなどから解雇をしたいと考えるかもしれません。

    しかし、整理解雇をする場合にも、次の要件を満たさない限り無効となるリスクがあります。

      ・人員削減の必要性
    1.  人員削減をしなければならない経営上の必要性があることをいいます。単に人員を削減することで生産性が向上するということでは足りず、経営不振を打開するなどの経営上の理由が必要になります。

      ・解雇回避努力
    1.  出向、配置転換、役員報酬のカット、希望退職者の募集など解雇を回避する努力をしたことが必要になります。

      ・人選の合理性
    1.  解雇をするための人選の基準が合理的かつ公平であることが必要になります。勤続年数が短く、会社への帰属性が低いと考えられるアルバイト従業員などは人事部などによって整理解雇の対象者としてリストアップされる可能性が高いといえます。

      ・手続きの妥当性
    1.  解雇対象の労働者や労働組合などと十分に協議をし、整理解雇をすることについての納得を得る努力をしていることが必要になります。

2、適正な手続きを経ない解雇で被る会社側のリスクとは?

上記のようにアルバイトであっても解雇をするためには、正社員と同様に法律上の規制があります。そのため、正当な理由なく解雇をした場合には、不当解雇であるとして、企業は以下のようなリスクを被るおそれがあります。

  1. (1)不当解雇であるとして訴えらえるリスク

    正当な理由なく解雇をした場合には、会社は、アルバイト従業員から不当解雇であるとして訴えられるリスクがあります。

    裁判になれば、裁判の手続きのために時間と手間がとられることになりますし、費用もかかることになります。そして、裁判で不当解雇の主張が認められた場合には、解雇が無効になり、アルバイト従業員が会社に復職することになります。

  2. (2)バックペイの支払いのリスク

    解雇が無効になった場合には、解雇がなかったことになり、アルバイト従業員との雇用関係が継続していたことになります。そうすると、会社は、アルバイト従業員を解雇した日から賃金を支払っていなかったことになるため、会社には解雇日にさかのぼって賃金の支払い義務が生じることになります。これを「バックペイ」といいます。

    会社としては、アルバイト従業員が勤務していないにもかかわらず、賃金を支払わなければならないという負担が生じるだけでなく、解雇無効を争う裁判が長期化した場合には、その金額も高額になるというリスクがあります。

  3. (3)慰謝料や残業代を請求されるリスク

    労働者が解雇無効を争う場合には、慰謝料や未払い残業代も併せて請求するということが少なくありません。雇用慣行賠償責任保険(EPL保険)に加入している経営者の方は、保険があるから大丈夫と考えがちですが、残業代請求については保険ではカバーされませんので注意が必要です。

3、アルバイトを解雇するときの手続きの流れ

では、解雇に正当な理由がある場合に、アルバイトを解雇するにはどのような手続きをとればよいのでしょうか。

  1. (1)事前に解雇予告する場合

    労働基準法20条では以下のように定めています。

    「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」


    したがって、会社は、アルバイト従業員に対し、30日以上前に解雇をする旨予告をしておく必要があります。また、アルバイト従業員から解雇理由証明書の交付を求められた場合には、会社にはそれを発行する義務がありますので、対応するようにしましょう。

  2. (2)即日解雇する場合

    即日解雇をする場合や、30日以上前の解雇予告ができない場合には、解雇予告手当を支払って、解雇することになります。解雇予告は、「平均賃金×(30日-解雇予告から解雇までの日数)」に相当する金銭を支払わなければなりません。

    会社が解雇予告手当を支払わなければならないのに、それを怠った場合、解雇を争う裁判において、裁判所が付加金の支払いを命じることもありますので、注意をしましょう(労働基準法114条)。

4、アルバイトを解雇するとき、特に留意すべき点とは?

アルバイトを解雇する場合には、アルバイト特有の問題もあります。そのため、以下のことに留意するようにしましょう。

  1. (1)契約期間中の解雇はできる限り避ける

    期間の定めのある雇用契約をした労働者を解雇する場合には、期間の定めのない労働者と比べて、より厳格に解雇の有効性を判断されることになります。

    解雇をするにあたって、「やむを得ない理由がある」といえるのであればよいのですが、裁判になってやむを得ない理由が認められるというケースは、そこまで多くはありません。

    そのため、期間の定めのある雇用契約を結んだアルバイトを解雇しよう、と考えているのであれば、法律上の解雇要件を満たすかどうかを慎重に判断するとともに、契約期間満了後に更新をしないという措置も検討するとよいでしょう。

  2. (2)契約終了時の雇い止めにも注意

    上記のように、契約期間満了後に更新をしないことを「雇止め」といいます。
    雇止めについても、一定の要件を満たさない限りは無効と判断されることがありますが、契約期間中の解雇よりかは緩やかに判断されます。

    契約が実質的に無期契約と変わらないような場合や、「契約は更新されるだろう」という期待するのが合理的な場合には、雇止めが無効と判断されることがありますので、注意が必要です

5、まとめ

アルバイトを解雇する場合にも、正社員と同様に解雇の法規制に従わなければなりません。特に、有期契約のアルバイトを解雇する場合には、正社員よりも厳格に解雇の有効性が判断されることになります。

正当な理由なく解雇をした場合には、アルバイト従業員から訴えられ、解決金として多額の金銭の支払いをしなければならなくなるといったリスクもあります。

このような労働トラブルを未然に防ぐためにも、解雇をする前に弁護士に相談をすることをおすすめします。ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスにぜひご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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