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スリップ事故の責任は誰にある?|過失割合の考え方

2023年09月12日
  • その他
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スリップ事故の責任は誰にある?|過失割合の考え方

雪や雨で滑りやすくなった道路では、スリップ事故のリスクが高まります。

スリップ事故が発生した場合には、事故車両の間の過失割合が大きな問題となります。後方車が前方車に衝突したという追突事故の場合、基本的には後方車(追突した側)に10割の過失が認められますが、事故の状況によっては前方車(追突された側)にも過失が認められるという点に注意しましょう。

本コラムでは、スリップ事故に関する責任の所在について、過失割合の考え方を中心にベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。

1、雪や雨によるスリップ事故の責任は誰にあるのか?

雪や雨で滑りやすくなった道路では、スリップ事故が発生するおそれがあります。

とくに前方車がスリップしてコントロールを失った場合には、後方車は回避が困難になる場合もあります。
以下では、このようなスリップを原因とする追突事故において前方車と後方車の過失割合はどのように決まるのかについて解説します。

  1. (1)後方車(追突した側)の過失10割が原則

    追突事故においては、後方車(追突した側)に10割の過失が認められる一方で、前方車(追突された側)には過失が認められないことが原則です。

    前方車には、進路変更を行う場合等には(道路交通法第26条の2第2項)、後方車の動きに注意する義務がありますが、追突事故の場合には、結果を回避することが困難と考えられているためです。
    これに対して後方車には、前方車が急停止しても追突を避けられる車間距離を保持したうえで、前方車の状況に注意しながら運転する義務があります(同法第26条、第70条)。

    このように、道路交通法上、追突事故を避ける責任は後方車側にあるなどの理由から、過失割合は0対10が原則とされているのです。

    前方車がスリップにより制御できなくなった場合でも、前方車と後方車の過失割合は0対10となるのが原則です
    ただし、スリップしたことについて前方車に過失が認められる場合には、過失割合が修正されることがあります。

  2. (2)前方車(追突された側)にも過失が認められる場合の例

    たとえば以下のような事情がある場合には、スリップしたことについて前方車の過失が認められ、追突事故の過失割合が修正される可能性が高くなります

    ① 急ブレーキがスリップの原因となった場合
    運転中に急ブレーキをかけることは、危険を防止するためやむを得ない場合を除いて禁止されています(道路交通法第24条)。
    前方車が合理的な理由なく急ブレーキをかけ、それが原因でスリップした場合、前方車にも一定の過失が認められます。

    ② 雪道で前方車がノーマルタイヤを装着していた場合
    雪道においては、スリップを防止するため、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンの装着が推奨されます。
    これらの対策を怠り、チェーンを巻かないノーマルタイヤで雪道を走った結果として前方車がスリップした場合、前方車に一定の過失が認められる可能性があります。

    ③ 高速度による運転がスリップの原因となった場合
    制限速度を超える高速度で走行したことがスリップの原因になった場合、前方車にも一定の過失が認められます。
    とくに30km/h以上の速度超過が認められた場合には、前方車に大きな過失が認められる可能性が高くなります。

2、3台以上が巻き込まれたスリップ事故の過失割合

3台以上の自動車が巻き込まれたスリップ事故では、過失割合は交通事故の状況に応じて個別に検討する必要があります。

  1. (1)玉突き事故の場合|最後方車の過失10割が原則

    いわゆる「玉突き事故」の場合は、最後方車に10割の過失が認められ、その他の車には過失が認められないのが通常です

    玉突き事故
    最初に最後方車が直前の車に追突し、押し出された車がその前の車に追突する交通事故


    事故の原因が最後方車以外の車のスリップであっても、これは変わりません。
    ただし、スリップした車に何らかの過失(急ブレーキや速度超過など)がある場合には、過失割合が修正されることがあります。

  2. (2)玉突き事故でない場合|事故状況によって過失割合を判断

    スリップを原因として発生する3台以上の車の交通事故には、玉突き事故以外の状況も考えられます。

    たとえば、前方から順にA車・B車・C車が連なって走行中、スリップしたA車にB車が追突し、急減速したB車へさらにC車が追突したケースを考えます。

    この場合、最初に追突が発生したA車とB車の間では、B車に10割の過失が認められるのが原則です。しかし、A車がスリップしたことについて過失が認められる場合には、過失割合が修正される可能性があります。

    続いて追突が発生したB車とC車の間では、急減速はB車の過失による一方で、C車にも車間距離保持義務や前方注意義務の違反が認められるため、両者に一定の過失が認められると考えられます。
    B車とC車の過失割合は、両者の過失の程度を個別具体的に検討したうえで判断されることになります。

    3台以上の車が関与するスリップ事故のパターンは多様であり、運転者間の過失割合も具体的なケースによって変動します
    適切な過失割合に基づく損害賠償を請求するために、弁護士に相談しましょう。

3、過失割合に不満がある場合の対処法

以下では、交通事故の過失割合について不満がある場合の対処法を解説します。

  1. (1)弁護士を通じて交渉する

    加害者(または保険会社)が提示する過失割合が不適切な場合には、弁護士を通じて修正を求めることを検討しましょう。

    交通事故の状況に応じて、裁判例などをふまえた適切な過失割合を主張すれば、加害者側が修正に応じる可能性があります。
    弁護士に依頼すれば、過失割合に関する適切な法的検討を行ったうえで、被害者側の主張を説得的に伝えることができます

  2. (2)交通事故ADRを申し立てる

    加害者側の保険会社との示談交渉がまとまらない場合は、交通事故ADRを利用することも検討してください。

    交通事故ADRは、裁判外で交通事故紛争を解決するための手続きです。
    弁護士などの専門家が、示談あっせんなど、紛争を解決するためのサポートを行います。

    交通事故ADRを利用すれば、訴訟よりも早期に交通事故紛争を解決できる可能性があります。
    また、交通事故ADRを利用する際に費用はかかりません

    示談が成立しない場合でも、客観的な立場にある専門家による審査が行われます。
    保険会社は審査の結果を尊重することになっているため、交通事故紛争の終局的な解決が期待できるでしょう。

  3. (3)損害賠償請求訴訟を提起する

    被害者側と加害者側の主張がかけ離れていて、示談の成立が全く見込めない場合には、裁判所に対して損害賠償請求訴訟を提起しましょう。

    交通事故の損害賠償請求訴訟では、被害者側が損害賠償請求権の存在および金額を立証しなければなりません。過失割合についても、被害者側が、加害者に過失があることを基礎づける事実の主張をして、証拠に基づく立証を行う必要があります。

    損害賠償請求訴訟では厳密な主張や立証が求められるうえに、訴訟自体も非常に専門的かつ複雑な手続きになります。
    したがって、信頼できる弁護士に代理人を依頼することをおすすめします。

4、スリップ事故の損害賠償請求は弁護士に相談

交通事故の損害賠償請求を行う際には、以下のような理由から弁護士への相談をおすすめします

① 損害賠償の増額が期待できる
交通事故の客観的な状況や、過去の裁判例などに基づき、法的に根拠のある主張を行うことで、損害賠償の増額が期待できます。

② 損害賠償請求の手続きを一任できる
示談交渉・交通事故ADRの申し立て・訴訟の提起など、損害賠償請求に必要な手続きを弁護士に一任でき、労力やストレスが大幅に軽減されます。

③ 精神的な支えになる
交通事故に遭うと、長期間にわたってケガを治療しなければならない、仕事を休んでいるため収入が途絶えたなど、難しい状況に追い込まれてしまうケースが多いです。
弁護士は、交通事故被害者の精神的な支えとなるため、親身になって相談に応じます。


交通事故の被害に遭ってしまった方は、お早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

スリップ事故の過失割合は、前方車0割・後方車10割となるのが原則です。
スリップが原因で3台以上の車による玉突き事故が発生した場合には、原則として最後方車の過失が10割、それ以外の車の過失が0割となります。

ただし、上記はあくまでも基本的な過失割合であり、交通事故の具体的な事情に応じて修正されることがあります。
たとえば急ブレーキや速度超過など、スリップした車に何らかの過失がある場合には、基本過失割合が修正される可能性が高いでしょう。

スリップ事故について、適正な過失割合による損害賠償を請求するためには、弁護士に相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、交通事故の損害賠償請求に関するご相談を承っております
加害者側から提示された示談金額や過失割合に納得できない方は、お早めに、ベリーベスト法律事務所にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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