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サイバー犯罪の種類とは? 加害者になったときの罪と処罰

2024年03月04日
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サイバー犯罪の種類とは? 加害者になったときの罪と処罰

静岡県では、サイバー犯罪に関する相談が急増しています。令和4年(2022年)中の相談受理件数は2999件で、前年比950件の増加でした。

不正アクセスによる被害やネットワークセキュリティーに関する相談が多く寄せられたほか、ランサムウェア・インターネットバンキングの不正送金など、組織的な犯行に関する相談もあったそうです。静岡県警察は、サイバーセキュリティ月間を設けて啓発活動を実施したり、新設した公式Twitterアカウントから情報を発信したりと、サイバー犯罪による被害の防止を呼び掛けています。

「サイバー犯罪」といえば、特殊な技術や知識をもつ人や集団によって行われる犯罪というイメージが強いかもしれません。しかし、一般的な方であっても、サイバー犯罪を行ったとして警察による捜査の対象となる可能性があるのです。本コラムでは、「サイバー犯罪」の種類や、問われうる罪と罰則について、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。

1、「サイバー犯罪」の意味と種類

まず、「サイバー犯罪」という言葉の意味や、サイバー犯罪の種類を解説します。

  1. (1)サイバー犯罪とは?

    サイバー犯罪とは「コンピュータやインターネットを悪用する犯罪」のことです。

    従来、サイバー犯罪といえば、コンピュータやネットワークの知識・技術を駆使して金銭や重要なデータを奪ったり、あるいはみずからの技術をひけらかしたりする目的の「ハッカー」による攻撃が主流でした。
    しかし、コンピュータが多くの人にとって身近なものとなり、誰でも気軽にネットワークを利用できるようになった現代社会では、一般の人でも簡単にサイバー犯罪を実行できてしまう環境が整っています。
    つまり、現在では、サイバー犯罪は「一部のハッカーによる犯罪」ではなくなっており、誰もがサイバー犯罪の加害者となる可能性があるのです。

  2. (2)サイバー犯罪には三つの種類がある

    「サイバー犯罪」という用語に法律的な定義はなく、刑法をはじめとしてどの法律にも「サイバー犯罪」という名称の罪は存在しません。

    現在、日本ではサイバー犯罪を次に挙げる三つの類型に分類して、行為に応じてさまざまな犯罪を適用することで、処罰の対象としています

    • 「ネットワーク利用犯罪」に該当するもの
    • 「不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反」となるもの
    • 「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪、不正指令電磁的記録に関する犯罪」となるもの


    令和4年(2022年)版の犯罪白書によると、令和3年中に全国で検挙されたサイバー犯罪の事件数は1万2209件でした。
    平成15年(2003年)以降、サイバー犯罪の検挙件数はほぼ右肩上がりで増加しており、とくに令和3年は前年比23・6%増という大幅な増加を記録しています。

2、「ネットワーク利用犯罪」に該当するもの

サイバー犯罪のなかでも最も多くを占めるのが、犯罪の実行に不可欠な手段としてインターネットを悪用する「ネットワーク利用犯罪」です。
警察庁における統計では「その他のサイバー犯罪」というくくりで計上されており、令和3年中は全サイバー犯罪の検挙数1万2209件のうち、ネットワーク利用犯罪が1万1051件を占めました。

パソコンやスマホで簡単にインターネットを利用できる現代社会では、誰もがネットワーク利用犯罪の加害者になってしまう可能性があります
以下では、ネットワーク利用犯罪の例を挙げます。
なお、現代社会における犯罪にはネットワークを悪用したものが多いため、ここで挙げたもの以外でもネットワーク利用犯罪に該当する場合があることに注意してください。

  1. (1)ネット詐欺

    ネットワーク利用犯罪のうち、とくに検挙数が多いのが「ネット詐欺」です。
    たとえば、アダルトサイトで動画再生ボタンをクリックしただけで多額の利用料金を請求する「ワンクリック詐欺」や、ネットオークション・フリマアプリなどに商品を出品して代金支払いを受けたのに商品を送らない「オークション利用詐欺」などが該当します。

    ネット詐欺は刑法第246条の「詐欺罪」にあたり、10年以下の懲役が科せられます

  2. (2)ネット上での誹謗中傷や犯罪予告

    SNSや掲示板サイトで他人を誹謗中傷すると、刑法第230条の名誉毀損(きそん)罪や同法第231条の侮辱罪に問われる可能性があります
    近年はとくに「誹謗中傷は犯罪になる」という意識が社会全体に広がっており、被害者が積極的に事件化を望むケースが増えているため、ネット上で他人について言及や批判を行う際にも、名誉毀損や侮辱にあたらないように気を付けなければいけません。

    名誉毀損罪と侮辱罪の法定刑は以下の通りです。

    ・名誉毀損罪
    3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金

    ・侮辱罪
    1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料


    また、掲示板サイトなどで「学校を爆破する」「駅で無差別に人を刺す」といった犯罪予告の書き込みを投稿した場合には、刑法第234条の「威力業務妨害罪」に問われるおそれがあります
    法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
    軽いイタズラのつもりでも罪を問われて厳しく処罰される可能性があるという意味では、非常に身近なサイバー犯罪だといえます。

  3. (3)ネットを悪用したわいせつ犯罪

    SNSにわいせつな画像や動画をアップロードして不特定多数の人が閲覧できる状態にしておくと、刑法第175条のわいせつ物陳列罪に問われます
    法定刑は2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料、または懲役・罰金の両方です。

    また、公開した画像や動画が18歳未満の性的な姿態である児童ポルノに該当する場合は児童ポルノ禁止法によって規制される児童ポルノ公然陳列罪に問われます
    罰則は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方であり、刑法のわいせつ物陳列罪よりも格段に厳しい刑罰が設けられていることに注意してください。

  4. (4)ネットを介した違法薬物の取引

    ネット掲示板上などを介して覚醒剤や大麻といった違法薬物を販売・譲渡すると、各薬物を規制する法律によって処罰されます。

    覚醒剤の販売や譲渡は覚醒剤取締法の違反です。
    非営利目的では10年以下の懲役、営利目的なら1年以上の有期懲役または情状により1年以上の有期懲役と500万円以下の罰金の両方が科せられます。

    大麻の販売や譲渡は大麻取締法違反となり、非営利目的で5年以下の懲役、営利目的なら7年以下の懲役または情状により7年以下の懲役と200万円以下の罰金の両方が科せられます。

3、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反」となるもの

パソコンやスマホといった端末にアクセスするためには、IDやパスワードが必要です。
不正な手段を用いて他人の端末にアクセスする行為や、不正なアクセスを助長する行為は「不正アクセス禁止法」の違反となります。

  1. (1)不正アクセス行為

    不正アクセス禁止法第3条では、誰であっても「不正アクセス行為をしてはならない」と定められています。

    不正にID・パスワードを入手したり、ID・パスワードを解析するソフトを使ったりして勝手に他人の端末にアクセスした場合には「不正アクセス行為」となります。
    たとえば、会社の同僚がパソコンを使用しているときにID・パスワード盗み見て勝手にログインしたり、家族のスマホをのぞこうとして当てずっぽうにID・パスワードを入力して操作ロックを解除したりといった行為も不正アクセス行為にあたるのです。
    不正アクセス行為は、日常生活のなかで犯しやすいサイバー犯罪であり、誰もが罪を問われる可能性のある犯罪だといえるでしょう。

    罰則は3年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

  2. (2)不正アクセスを助長する行為

    利用者の承諾を得ずに第三者にID・パスワードを提供する行為は「不正アクセスの助長」にあたります
    「このIDとパスワードで彼のアカウントにログインできる」などと伝えてID・パスワードを書いた紙を渡すなどの行為は処罰の対象です。

    不正アクセスを助長する行為には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

  3. (3)ID・パスワードの不正取得や不正保管

    他人のID・パスワードを不正に取得したり、不正に保管したりといった行為も処罰の対象になります。
    罰則は1年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
    実際に不正アクセスに利用したり、第三者に提供して不正アクセスを助長していたりしなくても、不正に他人のIDやパスワードを取得・保管するだけで犯罪になることに注意してください。

    罰則は1年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

  4. (4)フィッシングサイトの開設やフィッシングメールの送信

    他人のID・パスワードを盗み取る目的で金融機関のサイトに似せたフィッシングサイトを開設したり、フィッシングサイトに誘導するメールを送信したりする行為も、サイバー犯罪として処罰の対象になります。

    こちらも罰則は1年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、とくにフィッシング行為は詐欺など別の犯罪も同時に問われることが多く、悪質性も高いため、厳しく処罰される傾向にあります

4、「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪、不正指令電磁的記録に関する犯罪」となるもの

ハッカーなどが行うような類いの「サイバー犯罪」のイメージに最も近いのは、「コンピュータ・電磁的記録対象犯罪、不正指令電磁的記録に関する犯罪」です。

高度な技術や特殊な知識を駆使して他人のコンピュータに不正な指令を与えたり、攻撃を加えたりする犯罪であり、令和3年中には729件が検挙されています。
この数字は、サイバー犯罪全体のなかで占める割合としては約6%に過ぎません。
しかし、多くの人が利用しているインターネットバンキングのシステムが停止状態に陥ったり、不特定・多数の人を攻撃の対象としたりと大きな被害へとつながるため、厳しい取り締まりの対象となっているのです。

  1. (1)電子計算機損壊等業務妨害罪・電子計算機使用詐欺罪など

    企業のシステムに侵入してホームページのデータを勝手に書き換えたりする行為や、データを削除したりする行為は、刑法第234条の2に定められている電子計算機損壊等業務妨害罪に問われます

    本罪は、業務に用いられるコンピュータに対して、虚偽の情報や不正な指令を与えることでそのコンピュータに正しくない動作をさせて業務妨害の結果が起きた、あるいはそのおそれがある場合に成立する犯罪です。
    法定刑は5年以下の懲役または100万円以下の罰金で、未遂に終わった場合でも処罰されます。

    また、金融機関などのオンライン端末に侵入して不正な操作を加え、無断で他人の口座から自分の口座へと預金を移すなどの行為は、同法第246条の2の電子計算機使用詐欺罪に問われます
    法定刑は10年以下の懲役であり、罰金の規定はありません。有罪判決を受ければ懲役の一択となる重罪です。

  2. (2)コンピュータ・ウイルスの作成・供用など

    いわゆるコンピュータ・ウイルスを作成・提供・供用・取得・保管する行為は、刑法第19章の2に規定されている「不正指令電磁的記録に関する罪」の各条によって処罰されます

    ・コンピュータ・ウイルスの作成・提供・供用
    不正指令電磁的記録作成等罪(第168条の2)にあたり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

    ・コンピュータ・ウイルスの取得・保管
    不正指令電磁的記録取得等罪(第168条の3)にあたり、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

5、サイバー犯罪で逮捕されるとどうなる? 刑事手続きの流れ

ひとくちに「サイバー犯罪」といっても、どのような行為が問題となるのかによって適用される罪は変わります。
厳しい処罰が避けられないものがあれば、比較的に軽い刑罰で済まされる可能性があるものまでさまざまですが、刑事事件に発展した場合の基本的な流れは同じです。

以下では、警察に逮捕された後の、刑事手続きの流れを解説します。

  1. (1)逮捕・勾留による身柄拘束を受ける

    警察に逮捕されると、警察の段階で48時間以内、検察官のもとへと送致されてさらに24時間以内の身柄拘束を受けます。
    ここまでは「逮捕」による身柄拘束で、その効力は合計72時間を超えません。
    ただし、72時間が過ぎればかならず釈放されるというわけではありません。
    検察官が「勾留」を請求し、裁判官がこれを許可すると、勾留によって10~20日間の身柄拘束が続くのです。

    令和4年版の犯罪白書によると、令和3年中に検察庁で取り扱った逮捕を伴う身柄事件のうち、94.3%が勾留請求を受けました。
    検察官が勾留を請求しても裁判官が許可しなければ勾留されませんが、勾留請求が却下された割合はわずか4.1%であるため、勾留が請求されたらほぼ確実に許可されるといえます。

    身柄拘束が長期化すると、会社からの解雇や退職勧奨、学校からの退学、家庭の不和や離散といった事態を招くおそれがあります。
    大きな不利益を避けるためには、勾留を阻止することが大切です。
    逮捕された直後や、「逮捕の危険がある」と感じた時点から、すぐに弁護士に相談して弁護活動を依頼してください

  2. (2)検察官が起訴・不起訴を判断する

    勾留が満期を迎える日までに、検察官が「起訴」または「不起訴」を判断します。
    起訴とは刑事裁判を提起すること、不起訴とは刑事裁判の提起を見送るという意味です。

    起訴されると、犯罪の容疑がある「被疑者」という立場から刑事裁判を受ける「被告人」という立場へと変わり、刑事裁判が終わるまで被告人として勾留されます。
    被告人としての勾留は実質無期限であるため、身柄拘束が長期化してしまう事態は避けられません。

    一方で、不起訴が選択された場合は刑事裁判が開かれないので、それ以上は身柄拘束を続ける必要がなくなります。
    日本の法律では刑事裁判の手続きを経なければ刑罰も科せられません。
    つまり、逮捕・勾留されても、検察官が不起訴を選択すれば厳しい刑罰を回避できることになるのです。

    検察官による不起訴を得るためには、疑いをかけられている人にとって有利な事情を積み重ねて示す必要があります。
    深い反省を伝えるだけでなく、被害者への謝罪や弁済、再び罪を犯さないことの誓約や対策なども具体的に示さなくてはならないので、専門家である弁護士に相談しながら対応を検討しましょう

  3. (3)刑事裁判が開かれる

    検察官による起訴から1~2か月後に初回の公判が開かれます。
    以後、おおむね1か月に一度のペースで公判が開かれ、数回の審理を経て判決が言い渡されるので、早くても数カ月、争う点が多ければ1年近くは刑事裁判が続くことになるでしょう。

    刑事裁判では、裁判官が証拠をもとに審理を進めます。
    検察官側は犯罪が存在することを示す証拠を示して厳しい処罰を求めてくるため、被告人側としては、その立証を覆すための証拠や穏便な処分を求めるための証拠を示して対抗することになります。
    裁判においては、法律の知識だけでなく法廷での対応経験が問われるので、処分の軽減を実現するためには刑事事件の弁護経験を豊富にもつ弁護士に依頼することが大切です。

6、まとめ

「サイバー犯罪」には、大きく分けて三つの種類があります。
コンピュータやネットワークに関する特殊で高度な技術・知識がなければ実行できない犯罪があれば、パソコン・スマホを使えば専門的な知識がなくても簡単に実行できてしまう犯罪もあるため、「誰もがサイバー犯罪の容疑をかけられてしまう可能性がある」と認識しておくことが重要です。

サイバー犯罪の容疑をかけられてしまえば、逮捕・勾留による身柄拘束や厳しい刑罰を受けるおそれがあります。
穏便に解決するためには弁護士のサポートが欠かせないので、すでに容疑をかけられていたり、サイバー犯罪をはたらいてしまった心あたりがあったりする方は、弁護士への相談を急いでください。

サイバー犯罪の解決は、ベリーベスト法律事務所におまかせください。
刑事事件の弁護実績を豊富にもつ弁護士が、穏便な解決を目指して全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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