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離婚時には預貯金を分ける必要がある? 財産分与の考え方

2023年05月11日
  • 財産分与
  • 離婚
  • お金の分け方
離婚時には預貯金を分ける必要がある? 財産分与の考え方

浜松市の令和2年(2020年)の婚姻件数は3278件、離婚件数は1121件でした。婚姻件数に対しておよそ3分の1が離婚に至っているわけですが、離婚時にもめる主な要因として財産分与があります。

夫婦が離婚する際に行う財産分与は、婚姻中に得た預貯金も対象となります。民法上のルールを踏まえつつ、弁護士のサポートを受けながら適切に財産分与を行うことで無用なトラブルを避けましょう。

今回は、離婚時のお金の分け方(財産分与)について、民法のルールや注意点などをベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。

出典:「浜松市統計書 令和3年版」(浜松市)

1、離婚時には預貯金も分ける必要があるのか? 財産分与の基本ルール

夫婦が離婚するに当たっては、財産分与によって共有財産を分け合います。預貯金についても、婚姻中に取得したものは財産分与の対象です。

  1. (1)財産分与とは

    財産分与とは、離婚時に夫婦の共有財産を公平に分ける手続きです(民法第768条)。

    婚姻中に取得した財産は、夫婦が協力して得たものであると考えられます。したがって夫婦が離婚する際には、婚姻中に取得した財産を公平に分け合うべきとの考え方の下、民法によって財産分与の制度が設けられています(清算的財産分与)。

    清算的財産分与の他にも、離婚後の生活保障を行う「扶養的財産分与」と、離婚の原因を作ったことの損害賠償を行う「慰謝料的財産分与」の考え方があります。
    財産分与の制度は、清算的財産分与・扶養的財産分与・慰謝料的財産分与の複合により成り立っていると解されていますが、実務上は主に清算的財産分与の考え方がベースとなっています。

  2. (2)財産分与の対象財産|預貯金も対象となる場合あり

    財産分与の対象となるのは、夫婦が婚姻期間中に取得した財産です。

    共有名義の財産に限らず、夫婦いずれかの単独名義で取得した財産についても、婚姻期間中に取得したものであれば、原則として財産分与の対象となります

    預貯金についても上記の原則にしたがい、婚姻中に取得した預貯金は、原則として財産分与の対象です。

2、離婚時に財産分与しなくてよい預貯金

離婚時に財産分与の対象とならない財産は、「特有財産」と呼ばれます。預貯金についても、特有財産に当たる場合は財産分与を行う必要がありません。

特有財産に当たる預貯金は、以下のとおりです。

  • 婚姻前から所有していた預貯金
  • 相続や生前贈与によって取得した預貯金


  1. (1)婚姻前から所有していた預貯金

    夫婦の一方が婚姻前から有する財産は、特有財産に当たるため財産分与の対象外です(民法第762条第1項)。

    預貯金についても、婚姻前からためていた金額については、財産分与を行う必要はありません。

  2. (2)相続や生前贈与によって取得した預貯金

    婚姻中に取得したものであっても、自己の名で得た財産は特有財産に当たり、財産分与の対象外となります(民法第762条第1項)。

    「自己の名で得た財産」の典型例は、相続や生前贈与によって取得した財産です。これらの財産は、配偶者の協力を得ることなく、自らの親族関係等に基づいて取得したものであるため、財産分与の対象外とされています。

    預貯金についても、相続や生前贈与によって取得したものについては、財産分与の対象外です。

3、財産分与の割合の決め方

財産分与の割合は、夫婦の合意によって決めるのが原則です。

合意できなければ審判または訴訟で決めることになりますが、この場合、財産分与割合は基本的に半分ずつとなります。ただし例外的に、財産分与割合が半分ずつにならないケースもあるので注意が必要です。

  1. (1)夫婦の合意で決めるのが原則

    財産分与の割合は、原則として夫婦の合意によって決定します。離婚協議の際に財産分与も話し合うケースが多いですが、離婚後に財産分与の話し合いをすることもできます。

    協議がまとまらない場合は、離婚調停または財産分与請求調停を申し立て、引き続き財産分与の方法・割合を話し合います。
    参考:「夫婦関係調整調停(離婚)」(裁判所)
    参考:「財産分与請求調停」(裁判所)

    協議・調停を通じた合意によって財産分与を取り決める場合、財産分与割合はどのように設定しても構いません。

  2. (2)合意できなければ訴訟・審判で決める|半分ずつが原則

    財産分与の方法・割合等について、夫婦間の合意が調わなければ、家庭裁判所が判断を行います。離婚調停が不成立となった場合は離婚訴訟の判決、財産分与請求調停が不成立となった場合には審判によって、財産分与の内容が示されます。

    判決・審判によって財産分与の内容が決定される場合、財産分与割合は半分ずつとなるのが原則です

  3. (3)財産分与割合が半分ずつにならない場合の例

    ただし例外的に、共有財産の形成について夫婦の貢献度が明らかに偏っている場合には、訴訟の判決・審判によって財産分与の内容が決定される際にも、財産分与割合が半分ずつにならないことがあります。

    たとえば以下のような場合には、財産分与割合がいずれか一方に偏る可能性があります。

    • 特別の才能によって資産を形成した場合(経営者、芸能人、医師など)
    • いずれか一方が多額の浪費をした場合
    など

4、財産分与に当たって注意すべきポイント

財産分与に当たっては、財産等の種類に応じて注意すべきポイントがあります。弁護士のアドバイスを受けて、財産分与の落とし穴にはまらないように気を付けましょう。

一例として、以下の各点に注意が必要です。

  • 債務も財産分与の対象になる
  • 生命保険も解約返戻金相当額が財産分与の対象
  • 退職金も財産分与の対象になる場合がある
  • 不動産・車などは評価方法が重要
  • 子ども名義の預貯金は財産分与すべき?


  1. (1)原則として債務は財産分与の対象とならない

    債務は、これを負担する行為をしたものが負担するのが原則です。

    実務上ベースとなる清算的財産分与の考え方によれば、債務は財産分与の対象とはならないと考えられることが多いです。

    そのため、夫婦どちらかのギャンブルに充てるなど家族の生活とは無関係に借り入れた場合には、財産分与の対象外とされる可能性があります。

  2. (2)生命保険も解約返戻金相当額が財産分与の対象

    婚姻中に生命保険の掛け金を払い込んでいた場合、解約返戻金相当額が財産分与の対象となります

    解約返戻金の額は、保険会社に照会を行って確認しましょう。他の財産の状況によっては当初の想定よりも早く生命保険を解約しなければならず、経済的に損をしてしまう可能性があるので注意が必要です。

  3. (3)退職金も財産分与の対象になる場合がある

    将来受け取る予定の退職金(請求権)についても、支給の蓋然性(確実性の度合い)が高いと思われる場合には、離婚時点での退職金(評価額)も財産分与の対象となります。

    退職金が財産分与の対象となるか否かは、退職予定日までの期間や、勤続年数などから総合的に判断されます。

  4. (4)不動産・車などは評価方法が重要

    財産分与を行うに当たっては、対象財産の価値を評価する必要があります。

    預貯金や現金は額面が明確ですが、不動産や車などについては、評価方法によって評価額が変動します。どの評価方法を選択するかによって、財産分与の金額にも変化が生じるので注意が必要です。

    基本的には、自分が取得する財産については低く、相手が取得する財産については高く評価額を見積もる方が有利です。そのため評価方法を巡って対立が発生することも少なくありません。

    自分に有利な評価方法を主張する場合には、なぜその評価方法をとるべきなのかを合理的に説明しなければなりません。弁護士に相談しながら、きちんと理論武装をして交渉・調停・審判・訴訟に臨みましょう。

  5. (5)子ども名義の預貯金は財産分与すべき?

    子どもが所有している財産は、離婚時の財産分与の対象から除外されます。ただし預貯金については、実質的に親の所有物であると評価すべき場合には、例外的に財産分与の対象となります(いわゆる「名義預金」)。

    子ども名義の預貯金が親の所有物であると評価されやすいのは、子ども名義の口座の管理を入金した親自身が行っている場合などです

    この場合、口座は子ども名義であっても、預けられているお金は実質的に親のものであり、財産分与の対象になる可能性があります。

    子どもの預貯金が財産分与の対象になるか否かについては、法的に難しい判断が必要な場合があるので弁護士にご相談ください。

5、まとめ

離婚時の財産分与を適切に行うには、対象財産の範囲や評価方法などを適切に定めることが大切です。元配偶者と財産分与について話し合う際には、民法のルール等に沿って公平に財産分与を行うため、弁護士へのご相談をおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、離婚や財産分与に関するご相談を随時受け付けております。相手から財産分与を請求されて対処に困っている方、相手に対して財産分与を請求したい方は、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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