離職票が届かない! いつ届く? 遅すぎる際の対処方法を弁護士が解説

2024年08月28日
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離職票が届かない! いつ届く? 遅すぎる際の対処方法を弁護士が解説

離職票とは、会社を退職するときやしたあとに会社が発行する書類で、主にハローワークへ失業体宛を申請する際などに必要となります。浜松市にお住まいの方であれば、ハローワーク浜松で手続きを行うことになるでしょう。

しかし、離職票が届かない場合、手続きが進められなくなってしまい、困窮してしまう方もおられます。そもそも、会社を退職してから一定期間を経過しても離職票を会社が退職者に対して交付しないのは違法にならないのかとも思うかもしれません。

本コラムでは、離職票の概要と必要となる手続き、いつ届くものなのか、会社が離職票を交付しない場合の対処方法から、離職票に記載された理由に納得できない場合にできることについて、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士がお答えします。


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1、離職票は雇用保険の受給手続きを受けるために必要

離職票はハローワークで雇用保険の受給手続きをする際に提出する必要があります。そもそも離職票とはどのようなものでしょうか。そして、どうして手続きに必要なのでしょうか。

  1. (1)離職票とは

    離職票は、退職後一定期間に他の企業に転職したり、事業を興したりしない人が受け取る書類になります。会社が退職した従業員に対して交付するものです。ここには、退職前6か月間の給与額や退職の理由が記載されています。

    似た名称で離職証明書という書類がありますが、これは従業員には交付されません。会社からハローワークに提出され、雇用保険から脱退させる手続きに用いられます。

  2. (2)離職票が必要な場面

    離職票は、元従業員が従前加入していた雇用保険に基づき、失業手当を受けるために利用される書類になります。離職票に退職前6か月の給与額が書かれているのは、失業手当の金額を判断する際に必要な情報になっているのです。

    また、失業手当を受け取るには、待機期間などが設けられています。この待機期間は、離職理由によって異なる場合があります。

    こうしたことから、失業手当を受けながら求職活動を行いたいという場合などについては、離職票を会社から交付してもらわなければなりません

2、会社が離職票を交付しないのは違法?

それでは、退職後に会社から離職票が届かない、請求しても交付してもらえない場合、会社の離職票を出さない行為は法律に違反するのでしょうか。

この点、退職した従業員について次の転職先が決まっているような場合については、そもそも交付する必要がありません。そのため、会社が離職票を交付しない行為自体については、違法にはならないのです

もっとも、離職票の交付をしないことが違法ではなくても、会社はハローワークに対して雇用保険被保険者資格喪失届や雇用保険被保険者離職証明書を必要書類とともに提出しなければなりません

これは、従業員の退職日の翌日から10日以内にしなければならないことが、雇用保険法によって定められている義務になります。(雇用保険法7条、雇用保険法施行規則7条1項・3項)そのため、こうした手続きを会社がしていなければ法律違反に該当することになるのです(雇用保険法83条1号)。

さらに、雇用保険法においては、退職者の希望があれば、会社は離職票の発行手続きをしなければならないという規定があります(雇用保険法76条)。

したがって、離職票の交付をしないのは違法とはいえませんが、ハローワークへの必要な手続きをしないことや、退職者が発行を希望していたにもかかわらず離職票を発行しない場合は違法となります

3、会社から離職票が交付されないときの対処方法

会社から離職票が届かないとき、どうすればいいのでしょうか。以下の手順で対処してみましょう。

  1. (1)退職から10日から2週間程度は待ってみる

    まずは、少し待ってみるようにしましょう。そもそも離職票は、ハローワークに会社が上記の雇用保険被保険者離職証明書などを必要書類とともに提出したのちに、ハローワークから発行されます。

    そのため、会社がハローワークで手続きするのは退職から最長10日間かかります。そこからハローワークが離職票を発行し、会社から元従業員へ発送手続きなどを行いますので、ある程度の期間がかかるということを理解する必要があります。

    離職票が届くまでには10日から2週間くらいが一般的とされています。離職票が届かないと不安になるかもしれませんが、そもそも一定の期間がかかるということを認識し、少し待ってみましょう。

    とはいえ、ハローワークの手続きをしてから待機期間などを経て失業手当を受け取ることができるようになるため、なるべく早く交付してもらいたいと思うのが通常でしょう。

    離職票が一般的な期間を過ぎても発送してもらえないような場合は、会社に対する働きかけなどの対処をする必要があります。

  2. (2)会社に問い合わせてみる

    会社側としては、従業員が離職票を必要かどうか聞かない場合があります。こちらから必要だと伝えていないと、そもそも発行する手続きをしていない可能性もあるのです。

    そのため、退職の際にはきちんと離職票が必要な旨を伝えておくことをおすすめします。また、交付方法として、郵送してもらえるのか取りに来なければならないかなどについても確認しておくと、いざ離職票が届かなかったときに、問い合わせがしやすいでしょう。

    前述のとおり、離職票が会社から送付されるのは、一般的に退職後10日から2週間くらいだとされています。2週間を過ぎても離職票が届かない場合は、会社の担当者に問い合わせてみましょう

    雇用保険法においては、退職者が希望する限り、会社は離職票を発行しなければなりませんので、きちんと請求するようにしましょう。退職時にきちんと離職票が必要だと伝えておくメリットはまさにここにあります。

  3. (3)ハローワークに相談してみる

    退職時に会社とトラブルがあったような場合は、離職票の問い合わせができないこともあるでしょう。このようなときは、ハローワークに相談してみる方法があります。ハローワークに事情を説明することで、ハローワークから会社に連絡するなどの対応をしてくれる期待ができます。

    また、会社に離職票の発行を催促したにもかかわらず発行送付してもらえない場合は、そのことも伝えるようにしましょう。ハローワークが会社に対して離職票の交付を促すなどの対応をしてくれることがあります

    ハローワークが離職票の交付を促したにもかかわらず、会社から離職票が出されない場合には、本人がハローワークの長に「被保険者でなくなったこと」を確認する請求をします。請求を受けたハローワークの長は、離職者が離職しており、雇用保険の被保険者でなくなったと確認した場合には、離職票を交付しなければなりません

    ハローワークへの手続きは法律上会社の義務になっているため、行われている場合がほとんどでしょう。そのため、ハローワークから会社へ連絡してもらうことが可能なのです。

    なお、会社から発行してもらった離職票を紛失してしまった場合にもハローワークへ相談してみることをおすすめします。

4、離職票の離職理由に納得がいかない場合は?

離職票に記載されている離職理由については、会社都合で退職しなければならなかったにもかかわらず自己都合退職になっているなど、記載内容に納得できないケースや、事実と異なっていることがあります。そのような場合はどうすればいいのでしょうか。

理由によっては失業手当受給までの待機期間が長くなってしまうなどの不利益が生じることがありますので、きちんと手続きを取る必要があります。

① 会社に記載を改めるよう連絡する
まずは、会社に記載が違うことを伝え、修正してもらえるか確認しましょう。不調に終わった場合にはハローワークに相談する準備をします。

② 異議を申し立てる
離職票の離職票の「離職者記入欄」、「具体的事情記載欄(離職者用)」に自分が認識している事実を書き、「離職者本人の判断」欄の「異議あり」に○をつけ、ハローワークに提出します。

離職票の離職理由について納得がいかない場合は、この書類をもとにハローワークに異議を申し立てることができます。この異議申し立ての際に、事情を聞かれるので、きちんとなぜ納得ができないのか伝える必要があります

③ 必要な証拠を提示する
異議申し立ての際に、必要な証拠があれば、それを提示することも大切です。判断をするのはハローワークの担当者です。そのため、客観的な証拠を示すことで異議申し立てが認められる可能性を高めることができます。

④ 判断を待つ
異議が認められれば、退職理由が修正されますしかし、この判断をするのはハローワークの担当者になります。判断を待つようにしましょう。

⑤ 弁護士に相談
ハローワークに異議申し立てをしても納得できる判断がされなかったような場合もあるかもしれません。他方、懲戒解雇ではなかったにもかかわらず、離職理由が懲戒解雇などになっている場合など、記載された離職理由によっては退職者に不利になることもあります。

こうした場合、弁護士に相談することをおすすめします。どういった証拠を提示する必要があるのかなど法的なアドバイスを受けることができます。

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5、まとめ

離職票は、失業手当を受けるために必要な書類です。届かなければ手続きが遅れ、失業手当を満額受け取れなくなるリスクもあるため、正しい内容で発行してもらうよう、適切な対処をするようにしましょう。

そもそも離職票は、退職者が請求した場合に会社は発行手続きをしなければならないと雇用保険法で定められており、発行手続きは会社がハローワークに対して行います。前提として、社員が退社した時点でハローワークで雇用保険被保険者離職証明書などの手続きをすることが雇用保険法上の義務にもなっていいます。そのため、退職時に離職票が必要な旨を従業員から伝えられていれば、離職手続きを行う際に発行するようハローワークへ依頼する必要があるのです。

離職票が会社から届かない場合は、あらかじめ離職票が必要である旨を会社に伝えたかを確認したうえで、再度きちんと請求することで交付してもらうことができるでしょう。退職から2週間過ぎても届かない場合は、会社に再請求を行ってください。

離職票が届いたら、必ず記載内容を確認しましょう。もし、記載内容が事実と異なるようでしたら、修正してもらうことを検討する必要があります。ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスでは、ハローワークへ異議申し立てをしても修正されなかった場合や、退職後に会社から損害賠償請求をされたなどの労働問題についてアドバイスを行うことが可能です。お気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています