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偽装一人親方とは? 問題点や国土交通省の取り組みについて解説

2024年03月25日
  • その他
  • 偽装一人親方
偽装一人親方とは? 問題点や国土交通省の取り組みについて解説

令和3年度に静岡県内の労働基準監督署が監督指導を行った922事業場のうち、333事業場で違法な時間外労働がありました。

建設業の現場では「偽装一人親方」として発注者に酷使されている方がしばしば見られます。
偽装一人親方は、労働基準法などの法令に違反する不当な働かせ方です。もしご自身が偽装一人親方の状態に陥っていると疑われる場合は、お早めに。弁護士までご相談ください。

本コラムでは偽装一人親方の概要や問題点、国土交通省の取り組みなどを、ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスの弁護士が解説します。

1、偽装一人親方とは?

建設業では、企業が一人親方を実質的には労働者と同様の仕事に従事させているにもかかわらず、一人親方として扱う事例が散見されます。
このような事例は「偽装一人親方」と呼ばれており、企業が一人親方を搾取するものとして問題視されているのです。

  1. (1)偽装一人親方=実質的に労働者と評価すべき一人親方

    いわゆる「偽装一人親方」とは、実質的に労働者と評価すべき一人親方のことです。

    労働者は、労働基準法や労働契約法などの労働法令によって保護されています。
    たとえば残業代の支給や時間外労働の制限などが保障されており、解雇には非常に厳しい制限が課されています。
    また、一定の場合には、社会保険・雇用保険・労災保険への加入が必須とされており、労働者の福利厚生に寄与しています。
    これに対して、一人親方の場合は、企業(発注者)と対等な立場で契約を締結するため、原則として労働者に該当しません。
    したがって、一人親方には労働法令が適用されず、社会保険・雇用保険・労災保険への加入義務も適用されないのです。

    労働者を雇用する場合に比べると、一人親方に業務を発注する場合には、発注者にとって報酬以外のコストを抑えられるメリットがあります。
    また、一人親方には厳格な解雇規制が適用されないため、労働力の流動性を確保できる点も発注者にとって魅力的といえます。
    その反面、一人親方の立場から見ると、労働者に比べて法令上の保護に乏しい点が大きなデメリットとなります。
    一人親方と発注者の立場が対等であれば、労働法令による保護を及ぼす必要はありません。これに対して、一人親方が労働者同然の形で働いていれば、本来は労働法令によって保護すべきです。
    しかし、コストを抑えて労働力を確保しようとする企業は、形式的には一人親方(業務委託・請負など)として契約を締結しつつ、実質的には労働者のような働き方をさせる「良いとこどり」をしようとする傾向にあります
    これを「偽装一人親方」といいます。

    企業が「良いとこどり」をするということは、その反面、一人親方が企業に搾取されるということになります。
    偽装一人親方は、企業が一人親方を不当に搾取する点で、大いに問題がある状態といえます。

  2. (2)偽装一人親方に当たるか否かの判断基準

    一人親方が実質的に労働者である(=偽装一人親方)と判断されるのは、企業(発注者)の指揮命令を受けて働いていると評価すべき場合です。

    具体的には、以下の項目に当てはまるようであれば、偽装一人親方に当たる可能性があります。

    • ① 発注者からの依頼を断る自由がない
    • ② 仕事の量・配分・進め方などについて、発注者から毎日具体的な指示を受けている
    • ③ 始業・終業の時刻は、発注者が具体的に決めている
    • ④ 都合が悪くなった際に、仕事の代役を立てることが認められていない
    • ⑤ 報酬が日給や時給などで決まっている(出来高制ではない)
    • ⑥ 仕事で使う機械や器具などを発注者が用意している(一人親方が自分で用意していない)
    • ⑦ 他社の業務を受注することを実質的に制限されている
    • ⑧ 労働者(従業員)と同様の服務規程の順守が求められている

2、偽装一人親方に関する国土交通省の取り組み

以下では、建設業界において横行する偽装一人親方問題に対処するため、国土交通省が行っている取り組みを紹介します。

  1. (1)「建設業の一人親方問題に関する検討会」による論点整理

    国土交通省が設置した「建設業の一人親方問題に関する検討会」では、令和2年6月から令和4年3月まで6回にわたって検討会が開催され、偽装一人親方の問題について論点整理が行われました
    論点整理の結果は、「中間取りまとめ」として公表されています。

  2. (2)注意喚起のリーフレットを発行

    「建設業の一人親方問題に関する検討会」による中間取りまとめの内容をふまえて、国土交通省は、偽装一人親方の問題について注意喚起を行うため、「みんなで目指す クリーンな雇用・クリーンな請負の建設業界」というリーフレットを公表しています。
    同リーフレットでは、偽装一人親方に当たるかどうかの判断基準や契約を見直すべき場合、元請企業の確認事項などがまとめられています

  3. (3)社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの公表

    偽装一人親方について、企業が社会保険料を適正に負担しない事例が見られることに鑑み、国土交通省は「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を公表しています。
    同ガイドラインでは、元請企業・下請企業・一人親方がそれぞれの立場で、社会保険の加入について留意すべき事項がまとめられています。

3、一人親方として適切に仕事をするためのチェックポイント

以下では、一人親方として適切な条件下で仕事をするために注意しておくべき点を解説します。

  1. (1)適切な内容の業務委託契約等を締結する|偽装一人親方にも注意すべき

    一人親方は、業務内容や報酬などの条件が不明確なまま働いている場合が少なくありません。

    契約条件が不明確な場合、企業の言いなりに次から次へと業務を課されて、報酬に見合わない働き方を強いられるリスクが存在します。
    このような事態を避けるため、一人親方が業務を受注する際には、発注者との合意内容を適切に反映した契約書(業務委託契約・請負契約など)を締結しましょう

    また、業務委託や請負の名を借りて、実質的には労働者同然に働かせる「偽装一人親方」にも注意が必要です。
    本記事で紹介した判断基準を参考に、偽装一人親方に当たるような働き方を強いられたら、発注者に対して是正を求めてください
    その際には、弁護士から連絡してもらうことも効果的です

  2. (2)500万円以上の工事を受注したい場合は、建設業の許可を取得する

    建設業を営む際には、原則として建設業の許可を受ける必要があります(建設業法第3条第1項本文)。
    ただし、工事1件の請負代金の額が500万円未満(建築一式工事の場合は1500万円未満)の建設工事のみを請け負う場合は、例外的に建設業の許可が不要とされています(同項但し書き、建設業法施行令1条の2第1項)。一人親方の多くは、この例外規定に基づき、建設業の許可を取得せずに業務を行っています。

    一人親方が500万円以上の建設工事を受注するためには、建設業の許可を取得しなければなりません
    将来的な仕事の可能性を広げるためには、建設業許可の取得を検討しましょう。

  3. (3)労災保険に特別加入する

    一人親方は原則として労災保険に加入しませんが、特別加入制度が設けられています
    特別加入時の保険料は一人親方の自己負担となりますが、工事中の事故などについて労災保険給付を受けられるようになります。万が一の事態に備えたい場合は、厚生労働省が公表している「特別加入制度のしおり(一人親方その他の自営業者用)」を参考にしながら、労災保険への特別加入をご検討ください。

    なお、いわゆる「偽装一人親方」については、本来であれば発注者が労災保険に加入する義務を負います
    偽装一人親方に当たる働き方をしている方は、お早めに弁護士までご相談ください。

4、まとめ

偽装一人親方の問題は建設業界において長らく横行していますが、改善に向けた国土交通省の取り組みなども行われています。
一人親方としても、発注者に対して待遇等の改善を求めやすい状況になってきました。
偽装一人親方の状況を改善したい方は、弁護士へのご相談をおすすめします。
弁護士は、偽装一人親方に当たるかどうかの判断や、発注者に対して請求できる事柄についてアドバイスします。
実際の発注者とのやり取りも、弁護士が全面的に代行いたしますのでご安心ください。

ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスでは、偽装一人親方の問題に関するご相談を承っております。
一人親方として働いているうちに「発注者から不当に搾取されているのではないか……」と感じた方は、まずはベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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