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「過料」と「科料」の違いは何? 「罰金」とはどう違うのか?

2021年10月12日
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「過料」と「科料」の違いは何? 「罰金」とはどう違うのか?

新型コロナウイルスに関連して特措法が改正となりましたが、その際、入院を拒否した場合に「刑罰を科すのはやりすぎではないか」との議論がありました。その結果、入院を拒否した場合には「50万円以下の過料」に変更となりました。

「過料」と同じ呼び方で漢字が違う「科料」というのがあります。また「罰金」というのもありますが、これは「過料」や「科料」とどう違うのでしょうか。一定の法令違反に対してペナルティとして金銭を支払う意味では同じですが、「それぞれの違いについては、あまり意識したことがない」という人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は、さまざまな罰則の違いについて解説していきたいと思います。

1、「過料」と「科料」の違いとは?

「過料」と「科料」は、読み方がどちらも「かりょう」なので、区別するために「過料」は「あやまちりょう」と呼び、「科料」は「とがりょう」と呼ぶことがあります。

「過料」は、行政上の秩序罰で、「科料」は、刑事罰という違いがあります。どちらも金銭の納付を命じる罰則ですが、刑事罰だと前科が付くという違いがあります。要するに、科料の場合には「前科1犯」となりますが、過料の場合には前科が付かないということです

  1. (1)前科が付くことによる不利益

    ① 懲戒解雇
    会社に勤務している場合には、就業規則に懲戒事由として「有罪の判決を受けたとき」とある場合、前科が付くことで懲戒解雇される可能性があります。また、「有罪の判決を受けたとき」との規定がない場合であっても、「会社の信用を毀損したとき」という懲戒事由がある場合には、罪を犯したことにより会社の信用を毀損したとして懲戒解雇される可能性があります。

    ② 就職で不利となる可能性も
    就職する際には、履歴書に「賞罰」を記入しなければならないこともあります。現在、JIS規格の履歴書には賞罰欄はありませんが、応募する会社に決まった履歴書の書式があり、そこに賞罰欄がある場合などです。そこに前科がある場合には記載しなければなりません。前科があるのに何も記載しないで提出した場合、使用者による能力や人物評価を妨げ継続的な労働契約関係における信頼関係を損なうような重要な経歴を詐称したとして、懲戒解雇になる可能性があります。特に、金融関係では信用が重視されるので、前科がある場合には、就職することが難しくなります。

    ③ 離婚原因となる
    前科が付くこと自体が法律上の離婚事由にあたるわけではありませんが、犯罪行為により配偶者の名誉を傷つけ、家族の生活に困難をもたらしたことが「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当すると判断される可能性があります。前科が付くことで家庭も壊れてしまう可能性があるということです。

    ④ 海外旅行で不利益を受ける
    入国の申告において前科の記入を求められることがあります。場合によっては前科があることで入国が認められないこともあります。

    ⑤ 犯罪履歴が残る
    前科者は、検察庁や警察のデータベースに記録されるので、犯罪捜査において容疑者になる可能性が高まります。職務質問を受けた際、前科照会で前科があることがわかると、警察は疑いを強め、前科がない人に比べて念入りに調べられます。また、検察官が起訴・不起訴の判断をする際に、初犯に比べ同種前科があることは不利に働くことがあります。

    ⑥ 刑事裁判で不利になる
    刑事裁判は、行為ごとに判断されるので、前科があることで有罪・無罪に影響することはありませんが、犯罪の手口などの犯罪の態様は考慮されます。また、情状面において初犯に比べ前科があることは不利に働くことがあります。

  2. (2)過料の分類

    過料は行政上の秩序罰と説明しましたが、性質として、①「秩序罰としての過料」、②「執行罰としての過料」、③「懲戒罰としての過料」の3つに分類されます。

    ① 秩序罰としての過料
    秩序罰としての過料は、法令上の義務に違反した場合に科すものです。たとえば、民事訴訟で証人が出頭しない時に科される「民事訴訟上の義務違反」、転居した日から14日以内に転居の届出をしない時に科される「行政上の義務違反」、条例で定めた義務に違反した時に科される「地方公共団体の条例・規則違反」があります。

    ② 執行罰としての過料
    執行罰とは、行政上の義務を義務者が怠っているときに、行政庁が一定の期限を示したうえで、「もし期限内に義務を行わない場合には過料を科す」と予告して、義務の履行を促すことです。しかし、現行法上執行罰が規定されているのは、砂防法36条のみで、その内容は「500円以内の過料」となっているため、実効性はほとんどなく、事実上機能していません。

    ③ 懲戒罰としての過料
    懲戒罰とは、公務員など、公法上特別の法律関係にある場合に、その規律維持のため、義務違反があった場合に科される制裁のことです。具体例としては、「裁判官の懲戒は、戒告又は1万円以下の過料とする。」(裁判官分限法2条)などがあります。

2、罰金とは?

「過料」や「科料」と似たものに、「罰金」というのがあります。「罰金」の方が一般にはとっては、なじみがある言葉かもしれません。罰金は、科料と同じ刑事罰のひとつです。したがって、罰金が科された場合は前科が付きます。

罰金は、殺人罪や窃盗罪などを定める刑法はもちろんですが、道路交通法や独占禁止法などの行政法に違反した場合にも科されます。行政法違反であっても悪質性が高いものについては刑事罰を与えるということです。

「罰金」と「科料」の違いはなにかというと、金額の違いです。科料は、「1000円以上1万円未満」、罰金は、「1万円以上」となります。罰金は、刑法では上限について定めがなく、個々の法律で定めることになっています。

経済犯罪である、不正競争防止法や独占禁止法では、法人に対して数億円の罰金が定められているものもあります。なぜ高額の罰金が定められているかというと、法人の場合、罰金が科されてもそれ以上の利益が上がるなら法令違反をしてしまう可能性があるからです。それを防止するため、高い金額の罰金が定められています。

3、反則金との違い

交通違反をした場合などに違反切符を切られて、反則金を支払ったことがあるという経験がある人もいると思いますが、「反則金」は「罰金」とはどう違うのでしょうか。

反則金は、交通反則通告制度に基づく行政処分の一種です。警察本部長の通告に基づき、反則者が自分の意思で納付する、行政上の、一種の制裁金とされています。反則金を納付すれば、違反者は、道路交通法違反について公訴提起されないというメリットがあります。つまり、本来、道路交通法違反をした場合、刑事訴追を受ける可能性がありますが、その前に、違反事実を認めて反則金を支払った場合には、例外的に刑事訴追はしないという制度です。

なぜ、このような制度があるかというと、交通違反は全国でたくさんあるからです。これを全て刑事事件としてしまうと、検察庁も裁判所も大変なことになります。そこで、違反者が違反事実を認めて争わないのであれば、反則金を支払えば刑事訴追しないこととしているわけです

なお、反則金は「青切符」と言われるものですが、「赤切符」の場合には刑事訴追は免れないので注意が必要です。「青切符」となるのは、「軽微な違反」で、一時停止違反、駐車違反、時速30km未満の速度違反などです。「赤切符」になるのは、違反点数6点以上の重度な違反で、酒気帯び運転、時速30km以上の速度違反、無免許運転などです。

ちなみに、反則金は一般会計予算に組み入れられており、信号機や道路標識などの購入代金に使われています。

4、過料、科料、罰金、反則金を払わなかったらどうなる?

  1. (1)過料を払わない場合

    ① 国が科した過料の場合
    国が科した過料を払わない場合、民事執行法その他強制執行の手続きに関する規定に従って処理されます。つまり、民事上の強制執行と同じように財産の差し押さえなどがなされるということです

    ② 地方自治体が科した過料の場合
    地方自治体が科した過料を払わない場合、地方税の滞納処分と同じように処分されることになります。これは、税金の滞納処分と同じ処理ということです。地方自治体には自力執行権があるので、督促をしても払わない場合には、役所の徴税担当の職員によって、財産を差し押さえされる可能性があります

  2. (2)罰金、科料を払わない場合

    罰金や科料は刑罰として科せられたものなので、必ず所定の期間内に、納付しなければなりません。もし、罰金や科料を支払わない場合には、財産に対し差し押さえなどの強制執行が行われます。強制執行をした結果、罰金を納付できるだけの財産がない場合には、労役場に留置されます。つまり、刑務所に入って働くことになります。

  3. (3)反則金を払わない場合

    交通違反をすると、警察官に違反現場でいわゆる「青切符」が切られ、それと同時に「反則金仮納付書」という書類が交付されます。そこには納付期限が書いてあるので、その期限内に反則金を納付する必要があります。反則金を期限内に払わない場合、「交通反則通告書」と「納付書」が送付されてきます。通告を受けた人は、期限内に反則金を金融機関へ納付すると手続きは終わりますそれでも払わない場合、再度、督促状や出頭要請がなされます

    これも無視すると、警察は刑事手続きに入ることになります。再三の出頭要請にもかかわらず無視をすれば、逮捕されて、略式起訴によって罰金が科される可能性もあります。罰金ですので、前科も付きます。

5、まとめ

「過料」と「科料」の違い、また、「罰金」や「反則金」との違いについて解説してきました。同じような金額であっても、行政上の秩序罰と刑事罰とでは受ける不利益は大きく異なります。刑事罰だと、前科が付いてしまうからです。

前科が付くと、会社を懲戒解雇されたり、就職で不利になったりすることもあります。行政上の秩序罰である「過料」や公訴が免除される「反則金」は支払ってしまえば前科は付きません。逆に「科料」や「罰金」は前科が付いてしまうので、「科料」や「罰金」が科されそうな場合には、弁護士に相談し、対処してもらうことが重要です。

ベリーベスト法律事務所 浜松オフィスでは、刑事弁護について経験豊富な弁護士が在籍していますので、何か違反をして「科料」や「罰金」が科されそうな場合にはぜひ、ご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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